ブログ報知

 スポーツ報知 |  ブログ一覧

« 神々の国のトロッコ列車 | メイン| 真夏にオススメ 神秘の滝 »

2017年7月26日 (水)

出雲の国のワンダーウーマン

 島根県の取材では奥出雲町の奇勝「鬼の舌震(したぶるい)」も訪ねた。黒雲母花崗岩の地層が大馬木川の流れに浸食されて切り立った断崖となり、V字渓谷の底には巨岩、奇岩が、まるで川をせき止めるかのように折り重なっている。ど迫力の奇勝で国の天然記念物だ。「出雲国風土記」にはこの地にまつわる説話が収められているが、そのストーリーは、まるでアメコミのワンダーウーマン。古代日本人の発想は奇想天外だ。

_1

 

 「鬼の舌震」は約3キロも続く蛇行した川に沿って続く板状、柱状の節理(割れ目)や、川に堆積した様々な形の大きな岩が見どころ。上流から下高尾、雨川、宇根という3か所の駐車場があって、今回のアクセスは一番下流の宇根から。しかし、いきなり難関だ。

_1_2



 目の前に現れたのは巨大な吊り橋。谷底からの高さ45メートル、全長160メートル。歩くと少し揺れる。高所恐怖症の人は、視線を前方一点に固定して、絶対に下を見ないでひたすら歩くことをオススメする。
 難関を突破すれば、あとは全長2キロあるというバリアフリーの遊歩道。谷底から見上げればかなり高い場所を通っているはずだが、こちらは不思議と恐怖感はない。むしろ、奇岩が目を楽しませてくれる。
 最初に目に飛び込んできたのは、まるで水がめがポツンと立っているかのような「水瓶(はんど)岩」。高さ30メートルの岩の上に、独立して垂直に立っている。そんな不思議な風景を見ながら歩いて、渓谷全体の半分くらいまで来たところで川へ降りた。

_1_1_5



 巨大な岩の上に立って上流を見ると、川面がほとんど見えないほど巨岩が折り重なっている。下流は少し水の流れが見えて、その先に赤いが架かっている。自然のパワーと不思議さに圧倒される眺めだ。
 古代の出雲の人たちは、この風景からどんなことを連想したのだろうか。733年に完成した「出雲国風土記」に「恋山(したいやま)」という説話があるという。それによると、この巨岩群のいわれはこんなストーリーだ。
 「このあたりに住んでいた玉日女(たまひめ)という美しい神様を慕って、夜ごとに日本海のワニ(当時はサメの意味)が斐伊川を泳いで、ここまで上って来た。玉日女はこれを嫌がって、巨岩で川をせき止め、ワニが泳げないようにした」

_1_3



 ワニの話がなぜ「鬼の舌震」という地名になったかは諸説あるようだが、驚くのは玉日女のパワー。どうみてもひとつ2、3トンはありそうな巨岩を、こんなにもたくさん転がして、川をせき止めたというから、まるでアメコミのスーパーヒロイン「ワンダーウーマン」だ。
 「ワンダーウーマン」もギリシャ神話に登場する女だけの戦闘部族「アマゾネス」がモデルだが、超人的なパワーを持つのはアメコミに登場してから。つまり「出雲国風土記」はアメコミにも通じる奇想天外な発想ということになるのでは?
 「鬼の舌震」へのアクセスなどの詳細はここで。
http://www.kankou-shimane.com/ja/spot/detail/107
(2017年7月26日、文と写真・鬼塚 静信)

 

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

見出し、記事、写真の無断転載を禁じます。Copyright © The Hochi Shimbun.