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2017年8月 4日 (金)

神様のソバと鉄のキツネ

 島根県奥出雲町のランチタイム。出雲といえば「そば」。そこで有名な「姫のそば ゆかり庵」へ向かったが、不思議な店だった。玄関口まで行く間に鳥居をくぐる。そして、広い座敷に座って庭園を見てびっくり。神様が立っているのだ。

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 日本の庭園といえば石灯籠があるのは慣れているが、人物像が立っているところは初めて見た。右側に、絵画に描かれるような神様風の男性の像。そこから3メートルほど離れた場所に小さな石像。男性は神話に出てくるスサノオノミコト。その視線の先はクシナダヒメ(イナタヒメ)だろう。この「姫のそば ゆかり庵」は、イナタヒメ一人を祭神とした神社の境内にあるのだ。

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2体の像のシチュエーションを想像してみると、怪物ヤマタノオロチの生け贄になる運命を嘆いている姫を、スサノオが「私が守ってあげる」と慰めている場面だろうか。眺めていると神話の世界に入り込みそうだ。
しかしスサノオの立派な像と比べ、祭神のイナタヒメが古ぼけていて、顔の輪郭もよく分からなくなっているのが残念。ここは氏子のいない崇敬神社というから、資金的に苦しいのだろうかと心配になった。
 その神社の社務所を利用した「ゆかり庵」の名物は、もちろんそば。それも地元・奥出雲町産のそば粉を100パーセント使用している。そして何より貴重なのは「十割そば」という点だ。そばは、そば粉につなぎを混ぜて打つ。「二八」なら、そば粉8につなぎが2。

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「十割」ということは、つなぎが混ざっていないので、パサパサしていて切れやすいだろうと警戒しながら口に運んでみたが、意外にもしっかりつながっている。そして、そばの芳醇(ほうじゅん)な香りも伝わってきた。おいしい。
 さて、スサノオがヤマタノオロチを退治したところ、その体内から出てきたのが草薙の剣。この神話が出雲地方で古代から行われてきた「たたら製鉄」の歴史と文化を象徴しているという見方もある。
 今回の取材ではまず、現存する唯一の「たたら」の遺構「菅谷たたら高殿」(雲南市)を訪ねた。「たたら」は宮崎駿監督の名作「もののけ姫」に出てくるので知っている人は多いだろう。女性たちが交代で板を踏んでいた。あれは玉鋼を作る炉を高温に保つため、足踏み式のふいごで風を送り込んでいるところ。そのふいごを「たたら」と呼んだ。

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 「菅谷たたら高殿」は玉鋼作りの中心となる屋内施設で、そこに江戸時代の炉が再現されていた。炉には両側からたくさんのパイプがつながっていて、そこから風が送り込まれるという。炉には土の下に埋まった地下構造がある。
次に訪ねた「奥出雲たたらと刀剣館」では、その地下構造の模型が展示されていて、炉の中の水分を逃がして水蒸気爆発を防ぐ仕組みがよく分かる。そして、足踏み式の「天秤ふいご」が復元されていて、実際に体験できる。
 「たたら」について説明していると、きりがないので、興味がある人は現地へ。「たたら」は日本遺産にも認定されていて、その関連施設には黒いキツネのモニュメントある。何か所設置されているのか、探して訪ねてみるのも楽しそうだ。

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 奥出雲町の観光についてはここを参照。
https://www.okuizumogokochi.jp/
(2017年8月4日、文と写真・鬼塚 静信)

 

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