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2018年2月14日 (水)

京都・嵐山の「酒の神様」

 京都市の西の端、観光名所・嵐山の南側にある松尾大社は、お酒の神様としても信仰を集めているという。その近くで知人たちと会う機会があったので、帰りに訪ねてみた。そこには、古代日本の「神社」の姿があった。

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 阪急嵐山線の「嵐山」のひとつ手前「松尾大社」で降りる。車内は中国、韓国からの観光客であふれかえっていたが、この駅では日本人しか降りなかった。「京都最古の神社」とされる松尾大社も、まだ海外ではあまり知られていないようだ。ちなみに、駅名は「まつおたいしゃ」だったが、神社は公式には「まつのおたいしゃ」という。

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 若くしてこの世を去った親友ゆかりの人たちとの久しぶりの会席の後、「ちょっと松尾大社に参ってくる」と別れを告げたら、「お酒の神様にお礼参りか?」と言われてしまった。「お礼参り」には2つの意味があるが、決して飲み過ぎて失敗した苦い思い出の敵を討つ意図などなかった。お目当ては、昭和を代表する作庭家・重森三玲さんの作品を見たかったからだ。
 駅前で仲間たちと別れ、大きな赤い鳥居をくぐって参道を歩くと、江戸時代初期の建築で、昨年、修復工事を終えた楼門が現れる。老朽化したところは見ていないが、今は往時の姿を取り戻したのだろう。美しい建築だ。その楼門を入ると、拝殿があるが、視線はその左側にくぎ付けになった。

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 神輿庫(しんよこ)と呼ばれる建物の前面に、ずらりと並んだ菰樽(こもだる)。数えてみたらちょうど100あった。側面にも蒸留所のモルトの樽を含めて20ほどあった。すべて奉納されたもの。酒造業者がこの神社をいかに崇拝しているかが分かる。その理由のひとつが、境内の湧水「亀の井」。醸造家たちはこの水を酒の元水として造り水に混ぜるという。楼門の近くにも、亀の口から水が流れる手水舎があった。
 さて、目的の庭園は「松風苑」。そこは有料で、社務所で500円の拝観料を払って入った。あいにくのどんより曇った空で、季節柄、植物も色鮮やかとは言えないが、吉野川の緑泥片岩を200余りも使った庭はひと目、見ておきたい。

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 まず「曲水の庭」は、奈良・平安時代の曲水式庭園を現代的に再構成したという。立体的で、石の質感が何ともいえない雰囲気を醸し出している。感動したのは、「上古の庭」。借景が森林で、最初は興味が湧かなかったが、解説を読んで、作者の意図が分かった。
 古代、日本人は山中の巨大な岩などに神霊が宿ると考えて崇めた。後の時代のような社殿がない原初の神社の姿、信仰の形がここに表現されているという。石の並び、配置、大小には、それぞれに重要な意味が込められていたのだ。

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 松尾大社は松尾山の麓にあって、山頂近くに巨大な岩石があるという。それが、古代に信仰を集めた「磐座(いわくら)」。そこまで登れば「上古の庭」に表現されたような世界があるらしいが、何しろ昼過ぎからの会席でビールを飲み過ぎていた。とても山登りなど出来そうにない。酔っぱらったせいで、酒の神様の本当のお姿を拝めなかった。
(2018年2月14日、文と写真・鬼塚静信)

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