天皇杯を見る時のひそかな楽しみ
天皇杯取材を通じて、J1以外のチームとの対戦での勝敗以外の楽しさを感じた。10月31日の天皇杯3回戦の大宮―J2仙台戦。個人的には約8年ぶりの仙台戦取材となったが、サポーターの変わらぬ熱気に感動した。
2001年。契約記者として、現在の会社とは違う新聞社で働いていた記者は、J1初昇格を目前にした仙台の「第2担当」として約半年間追った。当時はプロ野球の楽天も無く、02年日韓W杯の前年ということもあり、「プロスポーツ不毛の地」と呼ばれた仙台を、異様なサッカー熱が包み込んでいた。当時、記者が仙台スタジアム(現・ユアテックスタジアム)を初めて訪れ、試合前の選手紹介の際、満員のサポーターの地鳴りのようなコールの迫力に圧倒され、鳥肌が立ったことを覚えている。
あれから8年。「フォルツァ、仙台」「ベーガールータ、仙台」―。変わらぬコールを耳にし、懐かしさにかられ、記者席で思わず口ずさんでしまった。NACK5スタジアムという完全アウエーにもかかわらず、多くの“黄金サポーター”が詰めかけていた。
10月31日の試合前、大宮関係者は「仙台のサポーターは声が大きい人が多いから、うちのホームでもアウエーのようになっちゃうんですよね」と苦笑いしていた。そして、仙台サポーターの熱意が通じたのか格上の大宮を延長戦の末、2―1で破る番狂わせを演じた。来季からJ1に昇格するチームにとっては、「自信となる勝ちだった」と手倉森誠監督(42)もその意義を強調した。
01年当時、仙台を率いていた清水秀彦監督が、「仙台のサポーターの応援はJ1でも屈指のレベル。相手は相当やりづらいと思うよ」と話していたことを思い出した。04年の降格以来、J2に5季居続けたが、サポーターの熱い声援は変わっていなかった。実際に今季、サッカー担当としてJ1全クラブの応援を目にしてきたが、仙台の応援はトップクラスだと思う。来季、再びユアテックスタジアムでの仙台戦を取材するのが個人的には1つの楽しみとなりそうだ。
11月1日の名古屋―ホンダロック戦(瑞穂陸)では、JFLに参加している宮崎の社会人チーム・ホンダロックの“コール”に楽しませてもらった。「ホネホネ・ロック」をもじった「ホンダ、ホンダロック」には各紙の名古屋担当記者一同、舌を巻いた。その余韻は、今も記者の耳に残っている。
天皇杯は、J1チームと学生や地域リーグのチームが対戦できる唯一の大会。会場で見てみると、試合そのものだけでなく、サポーターの応援の仕方の違いなど、それぞれのチームの色々な特徴が感じられて面白い。(大宮&名古屋担当・榎本 友一)

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