岡田監督からぜひとも聞きたい“勝利の嫌み”を
南アフリカW杯が、いよいよ開幕した。今、南アフリカにいられることは、サッカー担当記者冥利に尽きる。
海外取材は、非常に忙しいが、それ以上に刺激的なことが多く、楽しい。ただ、私は、海外取材で、とても怖いモノがひとつある。
コンセントだ。
1997年、マレーシアで行われたワールドユース(現U―20W杯)。締切時間に追われていた私は、ワープロ(当時はパソコンではありません)の電源アダプターを、変圧器を装着させることを忘れたまま、コンセントに差し込んだ。
次の瞬間、火花が散った。アダプターは壊れた。
その後、ワープロ本体の乾電池で仕事をしたが、原稿を1本書き上げる前に、6本の乾電池は消費されてしまう。いくら乾電池があっても足りない。不便、この上ない。
そんな苦境を救ってくれたのが、日本代表の岡田武史コーチ(当時)だった。岡田コーチがU―20日本代表チームの視察に行くことを聞きつけた弊社の先輩記者が、予備のアダプターを託したのだ。翌日、マレーシアのスタジアムに現れた岡田コーチは、苦笑いしながら、私にアダプターをポーンと投げて渡してくれた。
「オレは航空便じゃねーぞ」得意の嫌みのジョークを一言付け加えて。
現在、使用しているパソコンの電源アダプターは変圧器が内蔵されているので、そのままコンセントに差し込める。
しかし、火花の“トラウマ”によって、今でも、アダプターをコンセントに差し込む時、ビビってしまう。同時に、岡田コーチに助けられたことを思い出す。
あれから13年。岡田コーチは、岡田監督となり、2度目のW杯に挑む。立場上、厳しい記事を書かなければならない(最近はそんな記事の方が断然に多い)が、私は決して、岡田監督が嫌いではない。
南アフリカで勝利した岡田監督が、戦前、厳しい記事を書いた記者に向かって、得意の嫌みを言うことを期待している。(日本代表担当・竹内 達朗)

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