アンキールは「ナチュラル」のハブスになれるか(第350回)
カージナルスのリック・アンキール外野手が9日のパドレス戦で3年ぶりのメジャー昇格を果たし、いきなり7年ぶり本塁打を放ち、11日のドジャース戦では1試合2本塁打をかっ飛ばした。そのカムバック劇は映画「ナチュラル」でロバート・レッドフォードが演じた天才打者ロイ・ハブスを見るような感動を覚えた。ハブスは天才的な打撃を持ちながら、事件を起こしてデビュー出来ずに地方リーグを転々として16年後にメジャーに登場するのだが、アンキールは失意のメジャー生活からマイナーに転落。メジャー契約を解除されながら2年間の苦難を乗り越えて、大舞台に戻ってきた。
この週末のセントルイスは、あの大打者アルバート・プホルス以上にアンキールへの声援が大きかったという。1979年生まれのアンキールは大型左腕として97年にメッツのキャンプ地でもあるフロリダ州ポートセントルーシー高校で11勝1敗、防御率0・47を記録。74イニングで162個の三振を奪い、米全国紙USAトゥデー紙の全米最優秀高校生選手に選ばれ、同年のドラフト2巡目でカージナルスと契約。プロ2年目の99年にマイナー合計13勝3敗でスポーティング・ニューズ社の最優秀マイナー選手に選ばれ、カ軍のローテーションに入った翌2000年には11勝7敗、防御率3・50。175イニングで194個の三振を奪って同社の最優秀新人投手賞(全米野球記者協会の新人王投票はブレーブスのラファエル・ファーカル遊撃手に次いで2位)に選ばれた。持ち前の強打も発揮し、この年は68打数17安打、打率2割5分で9打点。4月20日のパドレス戦、続くブルワーズ戦と2試合連続アーチをかけて、スポーツ報知の早版原稿で、伝説のスーパースターで投打に力を発揮した“ベーブ・ルースの再来”と書いたこともある選手だった。
私の脳裏に彼の名前が決定的に刻み込まれたのは、同年のディビジョンシリーズ第1戦だ。中地区優勝のカージナルスは9シーズン連続東地区優勝のブレーブスと激突。300勝投手となっているグレッグ・マダックスとのマッチアップにトニー・ラルーサ監督は21歳のアンキールを抜擢した。カ軍はいきなり1回に大量6点を先取。アンキールも2安打されたものの2回まで無失点に抑えていた。悪夢が襲ったのが3回。1死一塁から連続暴投、四球を出して一、三塁から再び3個目の暴投で1点を献上。2死を取った後にストレートの四球となったボールが4個目の暴投となって再び一、三塁に。次打者に適時打を浴び、7人目の打者の時に5個目の暴投。なおも四球、適時打でマウンドを降りた。
偶然にもこの試合をスカパーで解説した私にとって、日米プロ球界で歴史に残る1イニング5暴投はあまりにも強烈だった。カ軍は3連勝でリーグ優勝決定シリーズに駒を進めたが、自信喪失のアンキールは2度登板しながら1回1/3を5四球と4暴投。このポストシーズンがトラウマになって、翌年はわずか6試合でマイナー落ち。02年はひじの手術で全休、04年にメジャーに戻ったがわずか5試合で往年の球威と大きなカーブの切れは影をひそめてしまった。翌年からは打撃をいかして外野手に転向。昨年は左ひざの手術で棒に振ったが、今季は3Aメンフィスで102試合に出場し32本塁打を放って、昇格したばかりだった。
7年ぶりの3ランを放った9日にアンキールは「言葉に言い尽くせない」と声を詰まらせたが、2本塁打した2日後には「昇格してからハードにプレーしているだけ。本当に信じられない日々が続いている。ファンの声援が本当にうれしかった」と自分を忘れていないセントルイスのファンにも感謝の言葉を残した。13日現在、カージナルスは中地区首位ブルワーズと5・5ゲーム差。映画「ナチュラル」ではハブスのバットがニューヨーク・ナイツに優勝をもたらすが、アンキールが逆転優勝への起爆剤になるのか注目だ。
[写真]2001年のカージナルスのメディア・ガイドを飾った投手時代のアンキール




なかなか 興味深く 面白く 読ませてもらいました。願わくば 基本データの身長、体重などをどこかの文面に入れ込んで欲しかった(*^ー゚)/~~
投稿: 室ムロ | 2007年8月17日 (金) 16:13
アンキールのデータですが、身長185センチ、体重95キロ、左投左打です。
投稿: ブログ管理者 | 2007年8月17日 (金) 19:51