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2009年1月 8日 (木)

 史上最強の1番打者殿堂入りなるか(第448回)

 1月12日に全米野球記者協会員の投票による米大リーグ(MLB)の殿堂入りが発表される(日本時間13日は日本でも殿堂入り発表)。個人的な興味は、15年間の投票有効期間の最終年となるジム・ライス外野手だ。昨年は392票を得たものの72・2%と当選必要ライン75%にわずか16票足らずに逃した。得票数を知らされたライスは「今日の結果に失望した。でも来年が残っている」と気丈に答えていた。

 レッドソックス一筋に382本塁打、1451打点、打率2割9分8厘の通算成績。本塁打、打点の2冠王となってMVPを獲得した1978年は、三塁打もリーグ最多の15本放った最高のシーズンだった。レギュラー定着1年目の1975年は、3割9厘、22本塁打、109打点をマークして地区優勝に貢献。普通なら新人王に輝くはずがチームメートに3割3分1厘、21本塁打、105打点で守備も抜群のフレッド・リン外野手がいたため落選(リンはMVPも受賞)。その上、公式戦最終週に左腕に死球を受けワールドシリーズ出場をフイ。前記の78年も、162試合戦って同率となったヤンキースとの1試合プレーオフで敗れ、初めて大舞台に出場したのは32歳となった1986年だった。もし、75、78年の若かりし時代に出場して結果を残していれば、通算成績と併せて殿堂入りしていたはずだ。

 もう一人、話題になるのはMLBの現役引退後5年の殿堂入り資格取得初年度の当選が確実視されているリッキー・ヘンダーソンだ。ライスと同じ左翼手ながら、こちらは通算最多の1406盗塁(2295得点も記録)をマークしたスピードスター。1982年には年間130盗塁の不滅の記録を樹立。同年はアスレチックスがア・リーグ西地区3位のためMVP投票で10位と評価されなかったが、90年には65盗塁ながら自身最多の28本塁打、打率も3割2分5厘。阪神からタイガースに戻って51本塁打、132打点の2冠王セシル・フィルダーに31ポイント差で振り切って初のMVPとなった。

 足かけ25年間9チームでプレーしたが、ほとんどを1番打者として出場した。印象に残っているのは1985年のヤンキース時代。自己最多の146得点(3割1分4厘、24本塁打、80盗塁)をマークしたが、2番のドン・マッティングリーが145打点(3割2分4厘、35本塁打)。1シーズンだけと限定すれば、史上最高の1、2番コンビだと断言できる。

 通算打率は2割7分9厘と高くない。しかし、3055安打に2190四球、98死球で通算出塁率は4割1厘。ちなみに3055安打のうち、ベースボール・リファレンス調べによると内野安打は236本しかない(イチローは8年間で398本)。それは彼が右打ち(左投げ)だったからだ。もし、左打ちだったら通算打率2割7分9厘は、2分ないし3分は上がっていただろう。297本塁打のうち、初回先頭81本も最多記録。右打ちだったからこその思い切りのいいスイングだった。肩はけっして強くないが、守備範囲は快足を活かし左翼なのに、3度も400刺殺もやってのけている。史上最強の1番打者の称号は彼のためにある言っていい。

 私が彼を目の当たりにしたのはメッツ在籍時の1999年のリーグ優勝決定シリーズ。第4戦でイニングの途中に交代させられ、試合中に帰宅。第6戦では交代後、チームメートとクラブハウスでカード遊び。2勝4敗とワールドシリーズ出場が幻となった試合後の険悪なムードも忘れられない。それでも、今から考えれば“自分が出ない試合なんて興味がないよ”と言わんばかりの強烈なプロ意識が、彼を支えてきたのだと思う。晩年は優等生ではなかったヘンダーソンが殿堂入り決定時にどんなコメントを残すのか、楽しみである。

 

【追伸】MAJOR.JPが1月5日限りで閉鎖された。厳選されたコラムや、いち早い選手の移動情報など参考にさせていただいただけに、月刊メジャーリーグの縮小やスカパーのMLBライブの休止に続くMLBファンにはショックなニュースとなった。本ブログでは新聞で扱えなかった米国の話題を昨年以上に取り上げていきたいと思っている。

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コメント

このジム・ライス外野手からレフトの定位置を奪ったのが、阪神にも在籍した(神のお告げで退団した)マーク・グリンウエル外野手。ちょっと因縁を感じますね。
ジム・ライス選手はまさにミスター・レッドソックスそのものでしょう。殿堂入りも遅すぎるくらいですよ。ただこういう豪傑選手でもワールドシリーズ優勝には縁がないのですよね。そこがMLBの厳しいところでもあります。
もうひとりのリッキー・ヘンダーソン選手~この人は言わずと知れた世界の盗塁王。確かにアスレチックス時代の130盗塁はなんともすごい!でも本当にすごいのは先頭打者で73ホーマーという数字です。これに出塁率が加わりますからね。

日本人MLB選手の皆さんには今年もベストパフォーマンスを期待しています。海を渡ったからにはWシリーズに是非、出場していただいて優勝リングを掴み取ってきて欲しい。MLBの球史に残る名選手でもWシリーズ優勝リングは遠い。この二人の名選手の殿堂入りで考えるのは、今をがんばることのすばらしさでしょう。これを毎年積み上げたらこその殿堂入りでしょう。
毎年、日本人MLB選手の誰かが優勝リングを手にできるように祈っています。そしてライス選手やリッキー・ヘンダーソン選手のような、ファンに愛される野球選手でいて欲しいと思います。

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