広島・大竹寛の38イニング連続無失点に思う(第472回)
広島の大竹寛投手が25日の西武戦で、4月28日巨人戦からの連続イニング無失点を38に伸ばした。昨年から12連勝中の西武・岸孝之との対決で注目されたが、1回の1死一、三塁で二冠王の中村剛也を捕ゴロに仕留め、なおも2死満塁でG・G・佐藤を空振り三振。4回無死一、二塁のピンチも、素早いバント処理とけん制刺殺でしのいで7回まで投げきった。無失点期間中、チームの失策はわずか1個。一方、外野手のバックホームで失点を防いでもらったのが2度あるなど、守備陣のバックアップも忘れてはならない。
大竹は浦和学院の出身で、2001年ドラフト会議で広島に1位で指名。実は、メジャー担当の私が助っ人として、最後にドラフト取材した選手だった。この年の注目選手は、甲子園大会で158キロを記録したと言われる日南学院の寺原隼人投手(ダイエー→横浜)。ドラフト当日の大竹の原稿は「練習がきついと寺原が敬遠した広島に対し“(練習がきついのは)当たり前のこと。きつければきついだけ結果が表れるように頑張ります。カープのエースになって、早くワールドカップ(寺原は高校3年生で選出)に選ばれるような投手になりたい” 同期生の158キロ右腕を抜いて日本のエースを目指す」と書いていた。
あれから8年、毎年のようにエースの座を期待されながら勝利数は2005年の10勝が最多と伸び悩んできた。しかし、制球力も増した今季は、現時点ではセ・リーグNO1投手。好成績を今年だけでなく、数年続ければ、ワールドカップよりレベルの高いワールド・ベースボール・クラシック(WBC)選出も夢ではない。そのためにも、今回の連続無失点をバネに大きく飛躍して欲しいものだ。
もっとも連続無失点のプロ野球記録には怪物的な数字が残っている。1958年、通算400勝投手の金田正一投手がマークした64回1/3だ。4戦連続を含む5度の完封に加え、4度のリリーフで積み重ねた。4月30日から5月27日まで、わずか28日間で成し遂げたのも、当時の投手事情とともに絶頂期の“金やん”のすごさ(ほかに1965年にも42回1/3無失点)がうかがえる。5月27日広島戦の6回、藤井弘にソロ本塁打を許して記録はストップしたが、「1点とられてかえってほっとした。あのままゼロが続いたら気疲れしてしまう」と“金やん”らしい言葉で表現している。ちなみに金田は38回以上を3度もやっている。
最近では2006年、阪神の藤川球児投手が、35試合とリリーフ登板を積み重ねて47回2/3連続無失点まで伸ばしたことがある。7月12日広島戦でリリーフし、走者を三塁に置いての暴投で自らピリオドを打ったときには「(無失点記録は)終了。ちょっと反省した。まあ、ええんちゃうかな。チームは勝って良かった」と話しただけでロッカーに消えたという。ひそかに金田投手をターゲットにしていただけに悔しさが伝わってくるが、リリーフだけでの最多記録だけに胸を張っていい数字だった。
中6日が主流ながら、先発投手のレコードブックを塗り替えるような快記録はけっして見られない昨今。大竹の記録がどこまで伸びるのか注目しようではないか。




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