1年は「芝浜」で締めくくる(第512回)
記録PLAY BACKメジャー編も27、28日付けで終了。WBCの連覇から始まった2009年も残り少なくなってきた。今年も球界の事を中心に書き連ねてきたが、最後に落語の話題で締めくくってみたい。今年1月に小学館から隔週の火曜日に発売されたCDつきマガジン「落語 昭和の名人 決定版」。“三代目 桂三木助”で26巻全巻が出そろった。
発売が発表されてすぐ書店に年間予約。出社途中で購入するのを楽しみにしていた。第1巻の古今亭志ん朝PART1からスタート。志ん生、 小さん、円生、金馬、文楽という大御所の演目はカセットやレコードなどで聞いたことがあったが、正蔵、馬生、可楽、柳枝、小南らは初めて。演者それぞれに 特徴があり、彼らの人となりも知ることが出来て、野球関連書籍で埋まった我が家の蔵書の一つとなった。
全26巻でトリを務めたのは三木助。演目の「芝浜」は、落語ファンなら誰もが知っている「三木助の芝浜」か「芝浜の三木助」と言われるほどの十八 番。知名度の高い彼を最後に持ってきた理由はただ一つ。演目の最後のクライマックスが大晦日だからだ。大酒飲みの魚の棒手振り(行商人)が、大金の入った 財布を拾ったために商売そっちのけで帰宅。近所の仲間を集めて酒盛りをする。しかし、女房は金を拾って有頂天となった主人に対し「(金を拾ったのは)夢 だった」と言いくるめる。それを知った主人は心を入れ替えて仕事に没頭。そして3年後、店を出すまでになった大晦日に、女房が3年前の出来事を告白すると いう人情話。
今でも、この時期になると多くの落語家が披露するが、識者の誰もが三木助にかなう者はいないと評している。実際、何年ぶりかで聞いた彼の語りは、 それだけで情景が浮かんでくる。志ん朝の十八番である年の瀬を舞台にした「文七元結」とともに、こたつで日本酒を飲みながら聴く最高の落語である。
話はそれるが、この「芝浜」をベースにした立川談笑の「シャブ浜」も面白い。暴走族上がりの薬物中毒というあらすじで、最後の落ちもまねている が、そこにたどりつくまでのプロセスが180度違う。談笑は三代目・金馬の「居酒屋」も「イラサリマケ」と改題して演じているが、こちらも抱腹絶倒で大好 きな落語家である。野球で占領されていた頭を休めるためにも、暮れから新年にかけて、のんびり落語で年越しを迎えようと思っている。
【御礼】今年も当コラムを読んでいただき、ありがとうございました。2010年が読者の皆様にとって良い年でありますよう祈っております。




コメント