日米決戦の可能性(第514回)
米大リーグ(MLB)のバド・セリグ・コミッショナーが、日本プロ野球(NPB)の加藤良三コミッショナーとのトップ会談の中で、「グローバル・ワールドシリーズ」の提案をした。MLBの機構と選手会は、現地7日時点で「同シリーズ」に関しては一切話し合いを行っていない。開催なら真っ先に影響のある2つの部署が話題にしていないだけに、日本側に向けたコミッショナーのアドバルーン的発言なのだろうか。
ワールドシリーズチャンピオンと日本シリーズチャンピオンが、その直後に対決するのは、日本の野球ファンなら誰しもが思い描くこと。現在のプロ野球の母体となった日本職業野球連盟が1936年2月5日に創立され、4月7日に発表された"綱領"の中には我ガ連盟ハ日本野球ノ健全且飛躍的発達ヲ期シ以テ野球世界選手権ノ獲得ヲ期ス(原文のまま)とある。
読売新聞、毎日新聞の尽力でMLBチームの来日は1951年以降スタートした。MLB側との交渉もあるために、日米野球開催のシーズン前に来日チーム(近年はオールスターチーム)を決定しなければならない。そのため、日本側の要請で前年世界一チームを招聘するが、どういうわけかリーグ優勝しても1955年ヤンキース、56年ドジャース、66年ドジャース、68年カージナルス、71年オリオールズと、ワールドシリーズではことごとく敗退。名実ともに世界一チーム来日は一度もなかった。
それではと、1984年に当時のボーウィー・クーン・コミッショナーの尽力で前年世界一のオリオールズと、日本シリーズチャンピオンが対戦する"日米決戦"が発表された。しかし、オリオールズはア・リーグ東地区5位に低迷、日本一になった広島との対決は盛り上がりに欠けた。日米野球に同行していたクーン・コミッショナーは帰米後、「日米決戦へ向かって新しい一歩が踏み出された。(日本側と)出来るだけ早い時期に実現するようお互いに積極的に努力することで意見が一致した」と前向きな発言をした。その一方でオリオールズが広島を4勝1敗で圧倒したことで「日本のチームが大リーグの優勝チームと対等に戦うには実力に差があり過ぎる」と時期尚早とのコメントも忘れていなかった。
その後、1986年からは、MLBが単独チームを送り込むのをやめ、オールスターチームとして来日。MLB選手会がストライキ中だった1994年を除き、隔年で開催されていた。しかし、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)がスタートした2006年の日米野球で、日本側の辞退選手が続出。NPB選手会は「出場するのはこの大会を最後にしたい」とNPB側に伝え、その後行われていない。WBCが日米野球の休止の原因だったが、今回のセリグ・コミッショナーの発言は、日本代表のWBC2連覇が引き金になっているのは間違いない。
2012年の任期満了で、その職務から離れると明言している(米球界では延長すると噂されている)が、3地区制、交流戦、WBC、オールスター戦の勝敗によるワールドシリーズのアドバンテージなど次々にプランを実現してMLBに莫大な利益をもたらした敏腕コミッショナー。WBC以上に、日程、球場、開催時期などクリアしなければならない課題は山積みだが、在任中最後の大仕事として、私は彼の手腕に期待してみたい。
【追伸】アンドレ・ドーソンだけが殿堂入りした米国。可能性が高いと報じられてきたバート・ブライルレベンは5票、ロベルト・アロマーは8票足らずに逃した。12日に発表される日本の野球殿堂入りにはサプライズはあるのだろうか。




一流選手のメジャー流出を防ぐにはこれしかない。
サッカーのようにW杯が頂点ではないから。
グローバル・ワールドシリーズって変な名前だが。
投稿: | 2010年1月17日 (日) 14:48
日米決戦~グローバル・ワールドシリーズ。結構なお話ですね。
クラブチームどうしの対決というのは望むところでしょう。ただパワーとスピードはむこうのほうが上です。WBCでわかりきっていることですが、体格差は遺伝的要素もあるので、組織戦術に頼らざる得ないのが日本の野球です。でも、非力でも大きな相手を倒せる、これが野球、ベースボールの面白さです。この文化を共有しているのだから、太平洋の東と西で大いに楽しんだらいいと思います。
ただNPB関係者にお願いしたのは、あまりMLBのイニシアチブに翻弄されないでほしいということ。WBCのようにおかしな審判の判定やら球数制限とか、収益の65%をMLBと選手会側がもっていくとか?はご勘弁願いたい。開催地や開催時期などきちんと詰めないと長続きしないものになってしまいます。やるからにはこういう国際試合は続けてほしいです。オリンピック委員会や国際サッカー連盟をびっくりさせるような企画であってほしいです。
投稿: Kファクトリー | 2010年1月18日 (月) 10:37