ブログ報知

スポーツ報知ブログ一覧

« 野球殿堂記者投票への考察=第48回(2004年度) 仰木彬選出、バースは「競技者表彰資格」失う。特別表彰は秋山登 | メイン | 野球殿堂記者投票への考察=第50回(2006年度の1)門田博光、山田久志のライバル同士に、個人的に思い出多い高木守道が競技者表彰で殿堂入り »

2016年12月16日 (金)

野球殿堂記者投票への考察=第49回(2005年度)村田兆治はトミー・ジョン手術経験者初の殿堂入り。森祇晶が競技者で、特別は志村正順を選出

584e5f36tg2 2004年8月に表彰規定がマイナーチェンジ。競技者表彰で「競技者が、日本に続き日本と選手契約協定を締結している国で競技者となった場合は、現役の引退とは見なさない」との一文が加わった。これにより、メジャーでプレーする選手などの引退に関する問題が明確になった。1月12日に発表された野球殿堂の表彰者には、競技者が前年よりも53票伸ばした村田兆治が234票で、44票増やした森祇晶が223票で選出された。3位以下は3位門田博光205票、4位高木守道184票、5位山田久志169票、6位権藤博168票、7位星野仙一144票、8位大沢啓二133票、9位梶本隆夫109票、10位田淵幸一82票、ランキングもズラリ若返った感がある。

 村田は現役時代のマサカリ投法で一世を風靡(ふうび)。大きく左足を上げて150キロ近い速球にフォークボールを投げ込む姿はまさしく野茂英雄に見まごうばかりだった。野茂がメジャーで通用したように村田は、対戦数が少なかったとはいえ日米野球で1978年レッズ相手に4イニング無失点、2安打4奪三振。1979年両リーグオールスターチーム相手にも2試合を投げ4イニングをノーヒットに抑えた。1979年に来日したナックルボールの使い手で米野球殿堂入りしたフィル・ニークロは「球威があるからフォークが効果的だ。回転しないで来るのでナックルに近い感じ」と分析。ツインズの主軸だったロイ・スモーリーは「速球、フォーク、どっちが来ても打てっこない」と頭を抱えていた。

 その後、肘を痛めたもののトミー・ジョン手術を受けてそこから甦った点が野球殿堂入りにつながった。肘の靱帯を移植するこの手術を受けてからカムバックして野球殿堂入りを果たしたのはメジャーでは2015年のジョン・スモルツが嚆矢(こうし)。それよりも10年早い受賞だった。村田は「(殿堂入りは)野球人生の卒業式という印象が強かった。まさか入るとは思っていなかったので、戸惑っています。夢を持ってプロに入って、厳しさも経験した。一生懸命に努力すると報われるということかもしれない」と感激に浸っていた。

 森は9連覇した読売ジャイアンツの正捕手として長く活躍。1833試合マスクをかぶり捕逸(パスボール)が42個だけ。野村克也が2921試合で207個、谷繁元信が2937試合で118個から比べてみても抜群に少ない(試合が少ない中では里崎智也が1018試合で19個がある)。1971年絶対不利と言われた阪急ブレーブスとの日本シリーズで快足・福本豊を2度も刺したシーンなどが忘れられない。ちなみに9連覇中にマスクをかぶった試合での相手の盗塁成績は25回走ってセーフは12回。つまり盗塁阻止率は52・0%。ヤクルトスワローズの古田敦也がマスクをかぶった5度のシリーズは20回で10回アウトの50・0%だから、森のシリーズでの数字は改めて光る。ちなみに先発を外れた1973年の第4戦と第5戦は吉田孝司が先発し2試合で4度オール成功で1度もアウトに出来なかった。監督としても西武ライオンズで9シーズン中8度のリーグ優勝、6度の日本一を果たした。報知の取材にハワイに住む森は「水原(茂)さんに見いだされ、川上さんに育ててもらった。(一番の恩人は?)寮長の武宮敏明さん。右も左もわからない自分を里親のように面倒を見てくれた」と思い出を語った。

 特別表彰はNHKアナウンサーとして、1943年の学徒出陣の中継、戦後は復興期だったプロ野球中継で、日本中の老若男女の野球ファンを魅了した志村正順を選出した。雑誌「野球少年」の“誌上実況中継"、評論家の小西得郎(1971年殿堂入り)との絶妙なコンビも人気があった。91歳ながら壮健だった志村は「91年間、生きてきたけれどきょうが一番うれしい日です」。特別表彰委員で元NHKアナウンサーだった西田善夫は「(志村の殿堂入りは)放送というメディアが野球に果たした貢献、その先頭に志村さんがおられたことを球界は忘れていなかったことだと思う」と話していた。メディア関係者の殿堂入りは、2016年現在この志村が最後になるとは誰も思わなかっただろう。

 【注】敬称略。写真は1989年5月13日、日本ハムファイターズ戦で白星を挙げ、通算200勝を達成した村田兆治の39歳になっても衰えない豪快なピッチングフォーム。

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

サイト内検索

蛭間 豊章

ヒルマニアロゴ

最近のトラックバック

見出し、記事、写真の無断転載を禁じます。Copyright © The Hochi Shimbun.