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2017年2月16日 (木)

1年でプロ野球から見放されたスタジアム(第843回)武蔵野グリーンパーク野球場は別名“ほこりパーク”だった

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 「純パの会」の催しで2月11日に、1951年に完成しながら、主だった試合はわずか1年間だけの使用に終わった東京スタデイアム、通称“武蔵野グリーンパーク野球場”と言われた跡地を訪ねた。国鉄スワローズ(現ヤクルトスワローズ)がプロ野球に参加して2年目、慢性的に球場が少なかった時代、戦前ゼロ戦などを作っていた中島飛行機製作所の跡地に立てられた。1950年1月26日付けの交通新聞の記事によると、グラウンドの総面積は約1万6千坪、地面から約120センチ下に掘り下げる後の西武球場(今年3月からメットライフドーム)のようなスタイル、収容人員5万1000人、ぎっしりつめこむと7万人。両翼300フィート(約91メートル)、中堅420フィート(約128メートル)。照明灯10基を設置。ブルペンがグラウンド外にあり、ベンチと連絡用の電話も設置される、となっていた。また、三鷹駅から歩くと40分前後かかる場所ながら、国鉄が全面バックアップ、かつて製作所への引き込み線を使用し「武蔵野競技場前」という新駅も作った。

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 当初は1950年3月の開幕に間に合わせることになっていたが、照明灯も設置されずに完成したのは翌1951年。こけら落としは、まだ外野席の芝生などが根付いていない4月14日。当時、神宮球場が進駐軍に接収されて全試合消化出来なかった六大学野球だった。その日開会式と2試合を行うなど1年間で19試合を消化した。開幕当日の4月14日付け報知新聞には東京駅発の直通電車のダイヤが写真のように掲載されていた。記念すべき最初の試合は東大―早大戦。2013年に野球殿堂入りを果たした早大・福島一雄投手の3安打完封勝利だった。スポーツ報知の記事には2試合で観衆は1万人と書かれていた。

 プロ野球は5月5日、6日にスワローズ、読売ジャイアンツ、名古屋ドラゴンズの3チームで計4試合が行われた。スタジアムのパノラマ写真は5月6日付け1面だ。第1試合は通算400勝投手の金田正一がドラゴンズ相手に3失点で完投勝利。第2試合はドラゴンズの宮下信明がジャイアンツ打線を5安打完封した。当時の記事を見ると初日はこどもの日だったこともあり、外野席に小中学生2万5000人を無料招待とあるが合計の観客数は掲載されていない。ただ、翌日は5万数千人の観衆が押し寄せたとあり、前日にましたファンを飲み込んだのがうかがえる。

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 ただし、芝の根付きの悪い土盛りの外野席からの土ほこりがひどかったという。5月6日の試合を伝える翌日の報知新聞では前文に「根の付かない外野席の芝生はホコリが舞うので敬遠された形」と書かれ、第2試合のジャイアンツ・ドラゴンズを伝える試合経過の中には「このころからセンターからホームに吹く風が強くなり、グラウンドは砂塵もうもうとして褐色のかすみのような中に…」とある。これが6月2日の試合を伝える3日付け前文には「クローバーがやっとのことで芽をのぞかせ、内外野のフィールドも湿度で“ほこりパーク”の汚名はどうにか返上した模様」と書かれる始末となった。このほこりが選手に不評を買ったことと、都内から遠いことでパ・リーグ4試合を含めてプロ野球はこの年の16試合しか行われなかった。合計8本の本塁打が飛び交ったがうち2本はランニング本塁打。また、松竹ロビンスの岩本義行はセ12試合で2本をいずれもたたきだし、毎日オリオンズの伊藤庄七も2試合で2本放った。

 そんなスタジアムも1年限りで翌年からは放置され、5年後に取り壊された。現在は武蔵野市緑町パークタウンという集合住宅となっている。当地には記念の紹介板があり、団地の真ん中にある芝生広場が内野のダイヤモンドがあった場所だったという。近隣にはグリーンパーク商店街。また、引き込み線廃線跡は遊歩道になり、ところどころ両側に錆びた鉄パイプが点在、そこが線路跡だったことを示している。

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 【注】写真は報知新聞に掲載された東京駅発の臨時電車の時刻表。5月5日のプロ野球こけら落としを報じる翌日の報知新聞1面。球場のあったことを示す紹介板。集合住宅の見取り図もスタジアムのあったことがうかがえる輪郭となっている。

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蛭間 豊章

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