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2010年1月17日 (日)

東浜よ、2年目のジンクスを吹っ飛ばせ

 「戦国東都」とはよく言ったものです。わたしが担当を離れた1年前と比べて、東都大学野球リーグ1部の顔ぶれは、ずいぶん変わってしまいました。青学大、駒大、日大、専大-伝統あるこれらの名門校が2部で春季リーグ戦を争うのですから、まさに過酷の一言に尽きます。

 昨年はそんな乱世に、頼もしい若武者が出現しました。亜大の東浜巨(なお)投手です。08年のセンバツでは沖縄尚学を優勝に導いたエース右腕。その秋のドラフト1位候補にリストアップしたプロ球団も多々ありましたが、心身ともにレベルアップを目指し、プロ志望届を提出することなく、亜大に進学を決めます。

 ルーキーイヤーは大車輪の活躍でした。東都リーグで44年ぶりとなる1年春の投手ベストナインに輝き、年間9勝を挙げた。11月には東京DでNPB選抜を相手に、1イニング3人斬りで無失点に封じる快投劇を演じました。

 東浜を取材するのは、実に2年前となる夏の沖縄大会以来です。何よりも驚いたのは、腰回りがどっしりしたこと。いやあ、東浜君、大人の体型になったねえ。

 「入学してから体重は7キロ増えて、75キロになりました。ズボンがきつくなっちゃって、もうピチピチです。ウエストが太くなったんで、ボタンを自分で縫い直したんですよ」

 「男の家庭科」に取り組む東浜を想像すると、思わず微笑んでしまいます。それにしても、昨年は素晴らしい年だった。2年目の今年は、どんな1年にしたいかな?

 「2年目のジンクスは、意識します。そう言われないように、自分にはないんだと、証明していきたい。去年は何も分からない状態で入学してきて、勢いのままでしたが、今年は本当の力が試される。他のチームは新4年生が主体ですから、充実した戦力が出てくるので、それなりの覚悟を持っています」

 「覚悟」の二文字が、わたしの胸を強く打ちました。オレが19歳のころ、「覚悟」なんて言葉、口に出したことってあったかな? 学年に関係なく、東浜は亜大のエースなのだと思いました。その右腕に、チーム全員の思いが詰まっている。それを自覚しているからこそ、自然に放たれた言葉なのでしょう。

 プロ野球の東映時代に完全試合を達成した中大の高橋善正監督が、年始にこんな話をしてくれました。「『投げ屋』は何人もいるよ。投げた後、振り向いてスコアボードのスピードガンを、一生懸命見ているようなヤツな。でもそれは『投手』じゃない。『投手』とは打者をよく観察し、駆け引きが出来て手玉に取る、東浜のようなヤツのことを言うんだよ」

 東浜は今年、高校社会科の教職課程にも挑戦したいと意欲を語ってくれました。「大学入る前から、考えていました」。学業と野球の両立はたいへんだと思いますが、大志を抱くその表情は、とてもさわやかに映りました。

 中大・沢村、立正大・南、東洋大・乾-あらゆる4年生との投げ合いは、すべてドル箱カードに思えます。「大学で初めて投げた時も、沢村さんと投げ合ったんです。沢村さんとは、特別な思いがありますね」。19歳、青春真っ盛り。眼光の輝きはまぶしすぎる。東浜よ、2年目のジンクスなんて、吹っ飛ばせ。

【参考】亜大・東浜「教員免許取る」http://hochi.yomiuri.co.jp/baseball/ama/news/20100107-OHT1T00312.htm

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