★吉村が泣いた日
吉村に“泣いた疑惑”が浮上した。25日の阪神戦(横浜)でサヨナラ打を放ち、お立ち台では涙か、汗か、目元がキラリ。真相を確かめようと村田が「ヒット打った時、お前泣いてたろ」兄貴と慕う先輩につっこまれ「僕、ドライアイなんで目を潤さないとダメなんですよ」と照れながら、ごまかしていた。
【お知らせ】吉村選手の情報は、9月30日を持ちまして今季の更新を終了します。
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吉村に“泣いた疑惑”が浮上した。25日の阪神戦(横浜)でサヨナラ打を放ち、お立ち台では涙か、汗か、目元がキラリ。真相を確かめようと村田が「ヒット打った時、お前泣いてたろ」兄貴と慕う先輩につっこまれ「僕、ドライアイなんで目を潤さないとダメなんですよ」と照れながら、ごまかしていた。
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目をこすりながら、吉村がグラウンドに入ってきた。「渋滞がすごくて遅くなっちゃいましたよ」横須賀市内の宿舎から東京ドームまで、通常は車で約1時間の距離。予定到着時刻を午後2時に設定して愛車を走らせたが、30分遅れで到着。「疲れたというより眠いです」巨人3連戦初戦を前に、少し元気はなかった。
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吉村が12日ぶりに本拠地に帰ってきた。14日のヤクルト戦前、グラウンドに下りるなり「いやぁ、暑いっすね。うふっ」とニッコリ。打撃練習では、バックスクリーンに打球を直撃させ、内川を「すげぇ」と驚かせた。汗だくでベンチに戻ってくると、「凄い打球? いえいえ、練習ですよ」と、謙遜していた。
吉村が広島市民球場を懐かしそうに見渡した。「ぼくが試合に出れるようになった思い出の球場なんで」。昨年4月19日の広島戦で、ケガで戦線離脱した多村(現ソフトバンク)に代わり中堅で先発出場。2戦連発して、正位置を奪うなど縁起の良い地だ。「がんばりますよ!!」と闘争心を燃していた。
打撃好調の吉村だが、悩みのタネがひとつある。それは守備で自分の失策が失点に結びついてしまうこと。コーチからの“カミナリ”におびえているのではなく、「失策から投手の勝利の権利を奪ってしまうこともある。人の生活がかかってますから」と真剣な表情。言うことも真のプロらしくなってきた。
今や不動の一塁手となった吉村。しかし、ぜいたく悩みもあった。一塁では自慢の強肩を披露する機会が少ないからだ。東福岡高では球速140キロ以上の直球を投げていた剛腕投手。それだけに、物足りなかった。最近は試合前の練習で三塁を守り「肩がうずうずするんで、何か投げたかったんですよ」と、発散している。
15日のヤクルト戦(下関)でチームは1―15と大敗。その翌日、甲子園では、2回戦に進出した吉村の母校・東福岡も同じように2―14と大差で敗退した。「すいません。恥ずかしいです」と苦笑いの吉村は「横浜の大敗が母校に連鎖? それは言ったらダメです」と首を振り、後輩たちの分まで、シーズンの逆襲を誓った。
横浜スタジアムの一塁側ベンチ入口に、テレビ局が決める週間MVPのポスターが飾られている。5月4週目のところに吉村の似顔絵が描かれているのだが、実は石井琢が描いたもの。それを見たクルーンは「ヘイ吉村!」と大喜び。しかし当の吉村は「僕じゃないですよ」と苦笑いしていた。
母校の東福岡が甲子園出場を決め、吉村は悩む毎日を送っていた。「差し入れは何にしようか…」当初は阪神の同級生・上園とともに、と考えていたが、結局は先輩の村田や他の関係者数人と、バットケースなどを贈ることに決めた。「やっぱり、一生残る物の方が喜ぶと思うんで。水とかだとなくなっちゃうし」
【阪神5-2横浜】吉村が7回に14号2ラン「このままずるずるいくわけにはいかないので、何とかして点を取り返したいと思った」
27日の成績=右安打、空三振、中本、空三振
27日に吉村の母校・東福岡高が甲子園予選の決勝を迎えた。観戦中の恩師からメールを受け、経過を確認。一時は同点に追いつかれたが「今年は打撃がいいから大丈夫」と落ち着いていた。結果、9―5で勝利し、甲子園出場を決めた。「うれしいです。差し入れ? これから考えます」とニコニコだった。
16日の試合後、吉村は急いで自宅へ帰った。「自分に顔が似てるって言われるんです」と言う、総合格闘家・宇野薫の試合を見たいがため。HEROS、ミドル級世界王者決定トーナメント開幕戦で永田克彦を3―0の判定で下し「試合? 間に合いました。判定だと思いましたよ」自分のことのように喜んでいた。
吉村は買い物が大好きだ。知人と表参道などに洋服を買いに出かけると、ブランドに関係なく見た目で気に入った物を選ぶ。時間をかけて買った後には、「似合うかな~」と自問自答を繰り返す。逆に悩んだ末に買わないと、「買っておけば…」と後悔する。積極的な打撃とは違って、ショッピングでは優柔不断な一面も見せるようだ。
吉村がさらにやる気になった。6月25日のロッテ戦(千葉マリン)の夜、千葉市内のホテルに宿泊すると、あるスポーツ団体が大広間で祝勝会を行っていた。楽しそうにビールかけをしている姿を見て「プ~ンと(酒が)におってきて、僕もやりたくなりました」泡まみれの自分を想像しながら、必死にバットを振っていた。
【横浜1―5阪神】吉村が好投する福岡・東福岡高の同級生に、一矢を報いた。阪神ルーキー・上園のストレートを右中間に9号ホームラン。上園の活躍に「制球もいいし、大崩れしない内容。体も大きくなりました」とうれしそうに話した。プロの世界では5年目の吉村が先輩。「(本塁打は)完璧でしたね」と面目躍如の一発に笑顔を見せていた。
1日の成績=一ゴロ、右中本、左2、三ゴロ
最近、打撃だけでなく守備でも貢献している吉村。工藤が2勝目を挙げた試合でも一塁線のライナーを横っ飛びで好捕した。しかし、そんな好調の守備について質問をすると表情が一変した。「偉そうに話していると、翌日ノックが増えるんで」と背後からの首脳陣の視線を気にして、縮こまっていた。
【横浜5―4オリックス】初回には先制タイムリー二塁打。8回に一塁線の打球を好捕、ピンチを救う「あれはいいプレー。普段から丁寧にやってきた成果です」
24日の成績=右中2、右飛、一ゴロ、投犠打
“吉村人形”がついに姿を消した。5月末までは横浜球場内のキッズルームにあった大人気の「もんちっち人形」。子どもたちから標的にされ、背番号31のユニホームはボロボロだった。6月に入っても相変わらずの攻撃を受け、結局は退去。「さすがに限界でした。人気がありすぎて…」と球場職員も苦笑い。
吉村が14日に23歳の誕生日を迎えた。札幌ドームで女性ファンの「おめでとう!」の声に「ありがとうございます」と笑顔で手を振り返した。1年前は、右手人さし指の骨折で戦線離脱していただけに「誕生日に野球がやれているだけでも幸せなことですよ」と試合に出られる喜びをかみしめていた。
【横浜7―3西武】吉村が2回に勝ち越しタイムリー。「積極的な気持ちが良かった。打撃の調子が上がってきたので、これからも打ちたい」
10日の成績=中安打、一邪飛、故四球、四球
【横浜2―0ロッテ】吉村が4回2死二塁から右翼ポール際へ決勝2ラン。「この球場はライト方向への打球が伸びる。ファンの皆さんが何とかしてくれたのかも。(この日も2安打と打撃好調に)振った後にバットが戻ってくる感覚。自分らしいスイングが出来た」
9日の成績=左安打、右本、捕ゴロ
吉村が同級生にエールを送った。「今日、上園ですよね。先発なんてやるなぁ!」東福岡高でともに汗を流した阪神・上園が、甲子園でのオリックス戦にプロ初先発。2人は2年生の時に、春のセンバツでベスト8に進出した。3年生ではエースと4番だった。「頑張ってほしいです」プロでの対戦はもうすぐだ。
5月末まで吉村は本拠で4本塁打。横浜スタジアムで本塁打を打つと小さい「ホッシー人形」がもらえるのだが、その4個すべてを、お世話になった人の子どもに配っている。「小さいんであんまり喜んでくれないんです」と、ぽつり。「でも、お立ち台に立てば人形がでかくなるんすよ。ヒーローを目指します」と、気合を入れていた。
「雨、降っていますね」吉村が空を見上げた。昨年の交流戦で右手人さし指を骨折したため、千葉マリンでのロッテ戦に出場できなかった。それだけに、雨でもやる気は人一倍だった。しかし、願いは通じず、無念の降雨中止に。足取りは重かったが、明日26日こそ快晴の空に、アーチをスタンドに放り込むことを誓った。
吉村のあだ名は“ハマのモンチッチ”。モンチッチ人形の顔に似ていることが由来だが「ボク、もう20歳超えてるんですよ」と、やや不満げだ。以前は「ギリシャ神話に登場するヘラクレス」と、自称していた。最近では、それにも「あれは体型が似てるからという意味だったけど、変わっちゃったんで」と苦笑い。
【横浜5―8巨人】7点差の9回2死満塁で吉村が4号アーチ。「あそこで打っても遅かったけど、あのまま終わるより良かった」
16日の成績=空三振、空三振、中飛、二ゴロ、右本
昨季ブレークした吉村だが心残りが1つあった。「もうすぐ交流戦かぁ…」昨年は地元・福岡でのソフトバンク戦だけ不調。先発を外れた試合もあり、雄姿を見せることができなかった。「友達も見に来るし、僕が打つことでお世話になった人への恩返しになるはずですから」と故郷に錦を飾ることを早くも心に決めていた。
吉村が“いじめ”にあっている。と言っても、本人じゃなく、横浜球場内の子どもたちの遊び場にある「もんちっち人形」だ。背番号31のユニホームを着た、吉村にそっくりの人形が毎日、子どもたちのキックなどの標的にされている。ユニホームもボロボロ。球場の女性職員は「あー、また。かわいそうにね~、吉村クン…」。
25日の巨人戦、吉村が不振でスタメンから外れた。試合後、プロ初登板を果たした新人の高崎が、報道陣を振り払うよう足早に歩いている姿を目にした。「高崎、止まって(取材に)答えろ」2回4失点と内容は今イチだったが、そんな時こそきちんと話すべき―。プレスを大切にする吉村らしいアドバイスを送った。
真冬並みに冷え込んだ横須賀のチーム合宿所から吉村が出てきた。寒さに背中を丸める報道陣を見ると「皆さん、(横浜)球場まで乗っていきますか?」とうれしくて涙が出そうなひと言をかけた。現在、打撃の調子は悪い。車中ではFMラジオを聞きながら一人、集中力を高める吉村だが、その時は優しさが先行した。
吉村の打席に入ってからの“儀式”が派手になってきた。ヤクルト相手に2ホーマーした10日は、昨年限りで現役を引退した新庄のように、バットを高々と上げて「来い!!」と投手を挑発。普段の物静かな男とのギャップに驚かされた。「あれ? 何でもないですよ。何でもないです」私服に戻るとやはり普通でした。
吉村には素晴らしい手本が近くにいる。東福岡高の先輩・村田だ。「ベンチでも隣に座ります」村田がヒットを打った時、吉村が打撃の助言を求めると不思議と「自分も打てる時が多い」という。この日も遠征先の宿舎から出てきた村田にピタリとくっついて現れた吉村。いつでも頼れる先輩の背中を見つめている。
(よしむら ゆうき)
生年月日 1984年6月14日
満年齢 23歳
出身 福岡
身長182cm、体重90kg
投打 右右
球歴 東福岡高(02年ドラフト5巡目)、5年目
甲子園歴 01年春
獲得タイトル
血液型 B型
年俸(推定) 2800万
家族 独身
愛車 リンカーン
寸評 シーズン中盤から5番打者として活躍。26本塁打を放つなど、将来は3冠王も狙える逸材だ
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