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2018年1月17日 (水)

「ふたご」直木賞受賞ならず

 

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 「セカイノオワリ」のSaori、藤崎彩織さんの「ふたご」(文藝春秋)が直木賞候補にノミネートされたので、受賞に備えて読みました。結果は落選となりましたが、選考委員の伊集院静さんは才能と感性を評価していました。
 
 舞台は東京の東急・池上線沿線。ヒロインの夏子は、同じ中学の一学年上の月島に恋慕し、ともに音楽の道を歩み出す。自分のことを「ふたご」のように思っている月島に夏子は、何かと振り回されてばかりだが、夏子も「同じ胎盤から栄養分を分かち合うふたごのように、これから起こる楽しいことや大変なことの、何もかもを共有していける」と信じるようになります。これは「セカオワ」の結成に至る実話を題材としているようです。...

 月島が夏子にカッターナイフを突き付けるような場面もあり、これも実話に基づくのだろうか、と驚がくするような描写もあり、徐々に引き込まれていきました。ストーリーそのものに非凡さはありませんが、めくるめく紡ぎ出される言葉が、繊細でした。

 伊集院さんは「小説の形としては完成度が足りないんじゃないか。事実であるようなことが書かれている。物語はきれいにみえる、真実を書くと物事があいまいになって見えなくなる」と指摘。 その上で以下のようにアドバイスを送りました。

 「これまでに素晴らしい楽曲と出会ってきたように素晴らしい小説と出会うと、もっと素晴らしい作家になれると思う。作家のほうが(音楽家より)解散がないから楽ですから。作家だったら『世界が終わる』いうことはありません」

 さらに著名人が文学界に挑戦することに伊集院さんは肯定的でした。「藤崎さんが優れているのは)ものの見方。もう一点な斜めにならずまっすぐ見ようという前向きなところが感じられるのがよかったと思う。文学を高唱という発想はしない。いろな人が入ってくる、違う世界の人が入って来るのは素晴らしいことだと思う。我々はそういうものを非常に期待しています。プロ野球選手が入ってくれてもかまわない」

2018年1月16日 (火)

北太樹関、お疲れ様でした。

  元幕内・北太樹が引退。けがに悩まされながら戦いきった20年の土俵生活だったと思います。写真は彼がまだ幕下だった頃、私が撮影してみたもの。いずれは必ず幕の内で相撲を取る日が来るだろうと応援しながら見ていました。

 入門前には町田市の少年団でゴールキーパーをやっていたサッカー少年。気さくな人懐っこさがある好青年でした。彼がまだ「若い衆」だった頃に東京や名古屋で一緒に飲みに行ったのもよい思い出です。北太樹関、お疲れ様でした。第2の人生も素晴らしいものとなるようお祈りしています。

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2018年1月15日 (月)

センター試験 ムーミンの問題を解いてみました。

センター試験の地理Bで、ムーミンの舞台を問う問題が出たことが話題になっているので、解いてみました。「

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小さなバイキング ビッケ」と並列で、どちらがノルウエーで、どちらがフィンランドかを選ばさせ、さらに「いくらですか?」のノルウェー語とフィンランド語を選ばせる問題。 かなりの難問ですが、「ヴァイキング」が「ヴィク=入り江の人」が由来でノルマン人の別名であることを知っていれば、「小さなヴァイキング ビッケ」がノルウェーであることが判断でき、ムーミンがフィンランドであることが判明します。

 「いくらですか?」の識別はさらに困難。ノルウェー語がゲルマン語族、フィンランドがウラル語族であることを知っていれば、選択肢Aのほうがヨーロッパ言語的な特徴を感じられるのでAがノルウエー語と判断できるでしょう。思考力を問う意図で作られたのでしょうけど、あまり良問とは思いませんでした。

2017年12月 2日 (土)

「親鸞 大いなるみ手に抱かれて」

敬愛する東北の演劇人・大日琳太郎さんの芸能生活周年を記念した、ひとり芝居「親鸞 大いなるみ手に抱かれて」が、東京・代官山で上演されました。

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 親鸞聖人の息子、善鸞によるモノローグ(一人語り)ですが、1時間以上に及び、一人で語り続ける台詞はいったい、どうやったら覚えられるのだろうか。本当に上演中には善鸞が琳太郎さんに乗り移っているのだろうか。
 
 私は浄土真宗ではありませんが、立教大時代に宗教学の授業で鈴木範久教授が題材としたのが、親鸞聖人の弟子・唯円が師の教えを書き残した「歎異抄」でした。南無阿弥陀仏と唱えれば、誰でも極楽浄土に行けるという「他力本願」、悪人こそが救われるという「悪人正機説」は鎌倉時代の民衆にものすごい勢いで広まったわけです。
 
 息子・善鸞は、父の教えに背き、義絶されたわけですが、芝居はその独白という形で、僧侶であるにも関わらず肉食を認め、妻帯者となった父への疑念、憎悪、そして結局は捨てきれぬ愛情を語っていきます。
 
 上演後、涙を流しながらの琳太郎さんの舞台あいさつも印象的でした。長年介護し続けてきた93歳のお父様が今年ご逝去。琳太郎さんが、30周年の節目にこの題材を選んだ理由は少し分かった気がします。琳太郎さん、風が冷たくなっていく季節に心温まるお芝居をありがとうございました。

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2017年11月26日 (日)

「だから、居場所が欲しかった。」を読んで

フィリピン・マニラを拠点とするノンフィクションライター、水谷竹秀さんの新作ルポ「だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人」(集英社)を読みました。

 舞台はタイの首都バンコクの高層ビル街にある日本企業のコールセンター。人件費などの経費節減のため移転し、日本からかかってくる通信販売の注文の対応をしているオペレーターたちは、タイ人ではなく、日本に息苦しさを感じて脱出して来た日本人たち。商品の注文をしている人たちは、まさか電話がタイにかかっていることは知らないでしょう。水谷さんは5年を要した丹念な取材で、オペレーターとして働いている彼らからそれぞれの背景を聞き出します。

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 非正規での勤務経験しかない30代の男性や借金苦から一家で夜逃げした男性…。息苦しい日本を離れて、彼らが求めた「居場所」は意外なところでした。

 水谷さんは2011年に「日本を捨てた男たち フィリピンに生きる『困窮邦人』(集英社)で開高健賞を受賞。その後も日本を脱出してフィリピンに「居場所」を求めた「脱出老人 フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち」(小学館)という傑作ルポを発表しています。一貫しているのは、いずれも日本国内にいては、見えてこない現代日本のひずみを見事に描き出しているという点だと思います。

 1990年代にバックパッカーとして東南アジアをウロウロしていた私にとってもタイは思い出深い地ですが、このような視点で描かれた秀作ルポの舞台になるとは、まったく想像力が及びませんでした。

2017年11月 8日 (水)

「世界をゆるがした十日間」

 昨日11月7日は、世界で初めての社会主義国家が誕生したロシア革命100周年でした。

 新聞記者を目指していた学生時代に勧められて読んだのは、革命の現場を克明に綴ったルポルタージュ「世界をゆるがした十日間」(岩波文庫)。ペトログラードでレーニン率いるボリシェヴィキが帝政を武力制圧する過程を目撃した米国の特派員、ジョン・リードによる古典的ルポです。後に英語でも読みました。

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 ソ連はこの70年後に崩壊してしまうわけですが、このようなルポがあるからこそ、100年前の人々が「富が公平に分配される社会」を目指していたことが伝わって来ます。日々、人の揚げ足をとって、世間の話題づくりをするのも、それはそれで世相を炙り出すことで意味があると思いますが、本当のジャーナリズムの仕事というのは、歴史的事件を克明に記録していくことではないかと、このような古典を振り返ると改めて感じます。

2017年11月 5日 (日)

映画「禅と骨」

 遅くなりましたが、ポレポレ東中野で公開中のドキュメンタリー映画「禅と骨」を観てきました。監督は傑作「ヨコハマメリー」の中村高寛さんなので、期待して行ったわけですが、期待を超える素晴らしい作品でした。


 主人公は1918年に横浜で生まれた日系米国人の禅僧・ヘンリ・ミトワ。晩年の彼を撮り続けた作品ですが、作品中には若い頃のヘンリを描く劇映画が挿入され、さらにはアニメも加えた多層的な作りになっています。虚構も交えて描き出した人物像は、枯淡の境地に達した禅僧のイメージとはほど遠く、一筋縄でいかない人間臭さを感じさせるものでした。

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 青年期を過ごした日本では、特高刑事からスパイ容疑をかけられ、渡米後には日系人収容所で過ごしたヘンリの人生は、まさに運命に翻弄され、常に「他者」としてみなされて来たと言えます。そして禅の道に進み、茶道や陶芸で才能を発揮していくのですが、これほどまでに波乱万丈な一代記はなかなかないでしょう。


 後半では、病で倒れ、衰えていくヘンリが、ドキュメンタリーの撮影を拒み、取材者とぶつかる場面があります。最も悲哀を感じさせるところですが、中村さんはここをしっかり伝えてこそ人物像が浮き彫りになると思ったのでしょう。ドキュメンタリストの魂を感じさせる場面でした。


 私がもう一つ、印象に残ったのは、ヘンリが作家の水上勉を慕っていたということ。水上勉は10歳の時に京都の禅寺の徒弟となり、僧籍にあったことが知られています。その代表作は室町時代の破戒僧の伝記文学「一休」です。


 ヘンリの波乱万丈、壮絶な人生を映像で追いながら、私は風狂の精神に生きた一休禅師とヘンリを重ね合わせて観ていました。禅僧でありながらも、奔放で、奇行を繰り返しながらも、その生涯そのものが作品であるかのような人生。ずっと心に残っていきそうなドキュメンタリーでした。

http://www.transformer.co.jp/m/zenandbones/

2017年10月31日 (火)

「Black Box」を読んで

 元TBS記者、山口敬之氏による性的暴行被害を告発したジャーナリスト・伊藤詩織さんの「Black Box」(文芸春秋)を読みました。一人の被害者としての告発本ではなく、諸外国と日本の性犯罪への認識や対策への取り組みの違いを考察した上での問題提起がなされており、ノンフィクション作品として読むべき一冊です。


 司法記者クラブで、記者会見を開くまでには、私も敬愛するジャーナリストの清水潔さんからのアドバイスを受けていたことは、本書を読んで初めて知りました。伊藤さんは、清水さんのアドバイスを聞きながらも、会見では自分なりのスタイルを貫きました。並々ならぬ決意をもって表に出てきたことが伝わって来ました。


 山口さんは雑誌に反論を載せて、自己弁護をされていますが、比べてみればどちらが真実を語っているかは明確です。ジャーナリストであるならば、レイプ事件についての日本国内での認識・対策の後進性にこそ問題意識を持つべきなのに、司法判断を拠り所として自己弁護に終始している山口さんの姿勢には疑問を感じざるを得ません。

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2017年10月23日 (月)

「新聞記者」(角川新書)

 官邸会見で菅義偉官房長官を質問攻めにして、手こずらせることで 有名になった東京新聞の望月衣朔子記者の著書「新聞記者」(角川新書)を読了。記者魂を具現したかのような熱い思いが伝わり、本を閉じた時には拍手を送りたい気持ちになりました。

 文字通り新聞記者が書いたものだけに、話は非常に具体的で、ほとんどの人物が実名で登場します。本題ではないですが、お子さんを預けたという子育てサポートの女性は、私の自宅にも訪問したことがある方でちょっとびっくり

 一般紙の政治部だろうと社会部だろうと、スポーツ紙だろうと、フリーだろうと記者がやるべきことは、それぞれの立ち位置でできることを全力で取材して、知られざる事実を掘り起こすということ。それはとてつもなく骨の折れることですが、成果が出た時の喜びは、かけがえのないものです。私も記者の端くれになって22年目ですが、原点を思い出しました。

  これも余談ですが、前日まで私が取材に追われていた山尾志桜里さんは、初代「アニー」を演じたことが有名。なんと望月さんも幼少の頃、演劇をやっていらして「アニー」を演じられたとのこと。アニーには「質問力」を高める力があるのでしょうか。

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 山尾氏、深夜の勝利

 愛知7区、無所属で出馬した山尾志桜里さんの当確をNHKが出したのは午前0時46分。自民党・鈴木淳司氏とは834票差の大接戦でした。不倫疑惑の真相は私には分かりませんが、無所属でこれだけの人に応援される人間力には凄まじいものを感じました。有権者の信託を得た以上、国会でしっかり安倍首相と対峙していただきたいと思います。選挙戦の模様は23日付のスポーツ報知でお伝えします。

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甲斐毅彦

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