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2010年2月 9日 (火)

中国報道の「裏」を読め!

 GDP(国内総生産)では日本を超え、米国に次ぐ世界第2位になるのが時間の問題とみられる中国。著しい経済成長と、その歪みは日々の報道で伝えられるが、情報は断片的になりがちです。中国問題のTVコメンテーターとして定評があるジャーナリスト、富坂聡さん(46)の新刊「中国報道の『裏』を読め!」(講談社 1470円)は我々がふだん目にしない中国メディアを精密に読み解くことで「13億人の国」で起きている現実を複眼的に描き出しています。9日付の社会面書評欄で紹介させて頂きました。

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 いまだに共産党の一党独裁が続く中国。そんな国の新聞、雑誌といえばてっきり政府見解のプロパガンダとなる広報機関ばかりなのかと思ましたでも、もはやそんな時代ではないようです。
 「人民日報」「南方週末」「広州日報」「瞭望東方週刊」などの現地メディアを精査した富坂さんは、こう話します。「昔はメディアも国家からの予算に依存していましたが、市場重視へと脱皮しつつある。彼らが恐れるのは共産党ではなく、市場からそっぽを向かれることなのです」。大衆の知りたい情報を伝えるために中国の記者たちも汗をかく時代になって来たというわけです。そう、我が「スポーツ報知」のように。
 潜入取材、告発ルポ…。読者のニーズに応えたいが気持ちが一線を超えた時に生じるのが誤報と虚報。本の冒頭では、その象徴的な事件として2007年に起きて日本でも報じられた「段ボール入り肉まん事件」を紹介しています。北京テレビの人気番組「透明度」が、廃段ボールを餡(あん)の材料にした小籠包の販売現場を記者が潜入取材を行ったが、実は放映された映像やコメントがサクラによるやらせだったという一件です。視聴率至上主義から起きる弊害は、日本のテレビと似て来たようです。
 ただし、日中の国民性と社会情勢は全く違うから事件の取り上げ方も、全く異なってきます。例えば最近の日本で起きた「秋葉原連続殺傷事件」「英国女性死体遺棄事件」。一般紙、スポーツ紙ともに、連日大々的に事件の動向を報じますが、これが中国で起きたらメディアの扱いはどうなるのでしょう。
 「何年か前に『ゲイが少年を11人連続で殺して、自宅の庭に全員埋めていた』なんて事件がありましたが、地元紙は社会面トップで扱うけどせいぜい2、3日。『別に。それがどうしたの』で終わっちゃうんです」。農村の金持ちへと誘拐されて失踪した子供が売られていく事件が常態化し、金融危機以降は増加の一途をたどる中国では、一件の残虐事件の余韻に浸る余裕もないようです。
 政治権力に関する報道以外は自由になりつつある中国。だが、富坂さんによれば、歯止めが効かなくなった中国メディアは、日本にとっては歓迎できるものではないようです。「メディアは反日化するでしょう。しかもかなりねじ曲がった言論で。これは間違いありません」。好もうと好まざろうと、日本の将来を左右する力を持つ中国。私たちがすべきことは、まず現実を知ることなのかもしれません。

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