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2016年12月

2016年12月31日 (土)

「探検家、40歳の事情」

お正月に何も考えずに笑える1冊を読みたいという方には、探検家でノンフィクション作家の角幡唯介さんの新刊「探検家、40歳の事情」(文藝春秋)をお勧めします。

 前作「探検家、36歳の憂鬱」から4年。結婚し、第1子の長女を授かった探検家の生活はどのように変化したのか。チベットの秘境や北極を旅するという「非日常」をライフワークとする探検家には、「非日常」に身を投じることを可能とするために「小市民的な日常」も生きなくてはいけない。この本は「日常」「非日常」の狭間で生きる葛藤を活写した珠玉のエッセイ集です。

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 収録作の中では「人間とイヌ」が非常に文学的ですが、それ以外は噴き出してしまうバカバカしい話。とくに「無賃乗車」にはたまげた。活字でメシを食う職業作家が、この話を活字にし得るのか!?中には本気で怒り出す人がいることも角幡さんは想定内なんでしょう。それにしてもつい最近まで天下の朝日新聞にこんな不逞な輩がいたとは・・・(笑)。今すぐ最寄のJRの駅に行って「駅員さん、こんな男がいますよぉ!」と突き出したくなる衝動にかられる人もいるのではないか。

 かくいう私も「無賃乗車」の四文字には、若かりし日に様々な思い出があり、批判できる立場にはありません。聖書の中にも「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい」という言葉がありましたよね(ヨハネの福音書)。

 ちなみに著者の角幡さんは現在、北極で越冬中のはず。

2016年12月16日 (金)

ナイロビで飲むビールの味

 ケニアのビールと言えば、日本にも輸出されている「タスカー」です。サラサラしていて飲みやすく、私はケニアにいる時はタスカーばかり飲んでいます。

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 タスカーを注文すると必ず「Warm or cold?(温かいのか冷たいのか)」と訪ねられます。もちろん「Cold」と注文しますが、20年前には「Warm」の選択肢しかありませんでした。 これは宗主国のイギリスが冷たいビールを飲む習慣がなかった名残らしく「冷たいのはないのか?」と訪ねると変わったヤツだな、という顔をされ「冷たいものはお腹に良くない」と諭されたものです。

 しかしイギリス以外の外国からも訪問者が増えるようになり、ようやくビールの飲み方にも変化が現れた模様。「キンキンに冷えた」とまでは行きませんが、一応冷蔵庫に入っていたものを出してくれるようにはなりました。

 タスカーは植民地時代の1922年創業。創業者は象の密漁中に事故で亡くなったそうで、そのためかロゴは象のマークになっています。

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 ところで前回訪問の2009年までは健在だったナイトクラブ「フロリダ2000」やケニア人たちの憩いのバー「モダングリーン」がともに潰れてしまっていたのは、ちょっとショックでした。タクシーの運転手などへの聞き込みで夜遊び場所は、だいぶ取材しました。ナイロビへ行かれる方は私にお尋ねください。

2016年12月13日 (火)

「みたけ山トレイルラン」

 昨年から参加し始めた「みたけ山トレイルラン」を無事に完走することができました。

 タイムは2時間18分8秒で587位。

 2時間を切って400番台に入ることを目標としていましたが、及びませんでした。

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 初出場した昨年が2時間26分5秒で739位だったので、若干は進歩したのですが、前回はなんの準備もせずに出たことを考えると合格点が付けられる進歩ではありません。

 反省点を挙げれば、ケーブルカー下のスタート地点から山頂までの標高差500メートルの急勾配が勝負を分けると分かっていながら、この対策が十分ではなかったことに尽きます。ふだんから漫然と走るだけでは不足でやはり御岳山に来てトレーニングするか、それに近い形でのトレーニングが必要だと痛感しました。

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 天気には恵まれ、快適なレースを楽しむことができました。山道を走りながらケーブルカーが追い抜くと警笛を鳴らしてエールを送ってくれたりするのは、何だか嬉しかったです。しかしロックガーデン付近では、頭から大流血して救急搬送される男性を見ました。勢いあまって何かに激突したのでしょう。我ながらなかなか危険な道楽に参加しているな、と思いました。

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 来年こそはもう少しトレーニングを積んで2時間を切ることを目標にしたいと思います。今後も年末恒例行事にして行こうと考えています。

2016年12月 4日 (日)

映画「東柱」

 母校の立教大学へ。異文化コミュニケーション学部主催のシネマ・シンポジウム「70年の時を経て出会った尹東柱と立教生」に出席して参りました。

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  尹東柱(ユン・ドンチュ)は、日本統治時代の朝鮮から日本に渡って立教大学(後に同志社大学に編入)で学んだ伝説的な人物。1943年に治安維持法違反容疑で官憲に捕らえられ、福岡刑務所で獄死した悲劇の詩人です。 シンポジウムでは今年韓国で公開されて120万人が観た映画「東柱」が日本で初めて上映されました。

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 映画上映後のトークセッションには、映画の中で特高警察役として出演し、尹東柱を絞め上げた俳優(大悪役ですが)がサプライズ登場。当たり前ながら流暢な日本語で出演していたので日本の俳優かと思いましたが、金仁友という在日の俳優でした。韓国人でありながら韓国人を弾圧する役回りをすることに葛藤がなかったのか気になるところでしたが「是非やりたい役だった。日本という国が悪いのではなく、軍国主義が起こしたことが悪い」と話していたのが印象に残りました。

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 映画はよくできた作品で感動しましたが、事実を基にしているとはいえ、だいぶ脚色がなされているとのこと。例えば、立教大留学中、尹東柱に恋慕する日本女性が登場しますが、これは創作の人物だそうです。

 ともあれ、密度の濃い素晴らしいシンポジウムでした。このようなイベントを無料で開催してくれた立教大を誇りに思います。舞台進行などで活躍した異文化コミュニケーション学部の学生の皆さんも皆、自分の在学中の立大生よりも優秀そうでした。

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 ちなみに尹東柱の詩集「空と風と星と詩」は、岩波文庫からも出ています。巻末にはハングルの原詩もついています。原詩を暗唱できるようになるぐらい読み込みたいものです。

2016年12月 1日 (木)

「未来国家ブータン」

 敬愛する辺境ノンフィクション作家、高野秀行さんの「未来国家ブータン」(集英社文庫)を読みました。

 エンターティメントノンフィクションの旗手による「世界一幸せな国」の探訪紀。幻獣ムベンベ以来、未確認生物探しをライフワークとしている高野さんのブータンでの狙いは「雪男(イエティ)」。現地の研究者の証言はあるものの、やはりそう簡単に未確認生物は姿を現してくれません。いわば「雪男をめぐる探検」。そんな珍道中の中で見えてきたブータンは「伝統的な知恵や信仰と最先端の環境・人権優先主義がミックスされた未来国家」でした。

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 未知の世界を探り、それを面白おかしく書くのが高野さんの真骨頂ですが、ブータン探訪においてもその精神が十分に発揮されています。その「面白さ」はちゃんと本質を突いており、読者を裏切ることがありません。実は私も11月にブータン旅行を計画したのですが、ビザが間に合わずにケニアのナイロビへ行きました。

  本書を読み、次回のブータン訪問のチャンスへ夢を膨らませておくことにします。

甲斐毅彦

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