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2017年5月 9日 (火)

「日本ノンフィクション史」

  中公新書の新刊「日本ノンフィクション史」(武田徹著)を読みました。文学史の本は巷にあふれていますが、本格的なルポルタージュやノンフィクションの通史というのは、これまでほとんど目にしたことがありませんでした。

 本書では明治時代以降のノンフィクションの流れを俯瞰しているわけですが、俯瞰するだけの薄っぺらいものではなく「ノンフィクション」という概念についての深く論じられた精神史となっています。力作です。

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 日本のルポルタージュの草分けと言われているのは、富国強兵が進められた明治時代に貧困層の暮らしを記録した松原岩五郎の「最暗黒之東京」、横山源之助の「日本之下層社会」などで、ともに岩波文庫になっています。

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   その後は日中戦争の従軍記などが戦前の「ノンフィクション」に分類されますが、ジャンルとして確立するのは戦後になってからです。週刊誌ジャーナリズムが台頭し「美智子妃の結婚」をすっぱ抜いたのが収監しであったということはこの新書を読んで初めて知りました。ノンフィクションは戦後の国民の「知る権利」の大きく寄与していったのです。また、ノンフィクションの発展には大宅壮一の影響が大きかったことも再認識しました。

 ノンフィクションの定義については、ただ事実を記せば良いかというと、そういうわけでもなく、本書の中で触れられている沢木耕太郎さんや角幡唯介さんの「ノンフィクション」のとらえ方には、深く考えさせられるものがあります。最後はノンフィクションの新分野ともいえる「ケータイ小説」にも触れられ、大宅壮一文庫の活用法まで書かれています。

 ノンフィクション好きな方には絶対にお勧めの骨太な1冊です。そして私自身、古典的ルポ、ノンフィクションの読書が全く足りていないことを思い知らされるのでした。

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甲斐毅彦

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