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2008年12月30日 (火)

食べたい「あじ寿司」、観たい「南極料理人」

 年末です。テレビのレギューラー番組は大半が12月26日(月)の放送をもって終了。「ではみなさま、よいお年を。また来年1月○○日の放送でお会いしましょう」で絶縁されてしまった。あとは各局の特番や総集編を見るしかない。ニュース番組は縮小されるし、テレビウォッチャーには寂しい年末年始。夏川りみの結婚、斎藤慶子の離婚、沢尻エリカの帰国と、今年も“駆け込み報告”があっても、伝わり切れないもどかしさ。

 数少ない報道・情報番組に共通していたのは「不況」だった。契約を打ち切られた派遣労働者たちの悲惨な年越し模様はもっともっと実態が報告されるべき大問題。一方で、消費の落ち込みをリポートする中で、もはや三種の神器、新三種の神器などの時代は日本昔話。“あるもの”で満足し、一般大衆の物欲など捨て去った声が共通していた。

 自動車の売れ行き落ち込みは一時のガソリン代の値上がだけの影響ではない。パソコンもケータイ電話だって同じ。マイナーチェンジして新しさ、新機能を競ったって消費者はついて行きません。いま、あるものでいい。目先の新しさなどどうでもいい。目先より将来設計のだから。

 衣食住でいえば、衣も住も現状で満足。断然「食」が気になる。質、量より深さであるから。通販番組で函館から「カニ、もう一声。しょうがないなぁ、では、これも乗せちゃいましょう」と元気な声が響けば、つい目がいってしまう。やっぱり、量か。「ミシュラン」評価などどうでもいいけど、食にはこだわりたい。

 知り合いの建設会社の営業部長。大阪に転勤になって「どこに行こうとこの業界、冷え込んでいますなぁ」と表情はさえないものの、大阪の食文化には興味津津。静岡生まれで大学を京都で過ごし、関西食文化には精通している。先日も鉄板お好み焼き屋でごいっしょして「うまい。あっさりしていながら、うまい」とパクついていた。

 この部長の実家が静岡・修善寺でかつてすし屋を営んでいて、いまは弟夫婦が「舞寿し」という、駅弁通にはちっとは知られた弁当屋として「味」を継承している。全国に知られる「あじ寿司」だ。年明け8日から東京・新宿の京王百貨店での「駅弁大会」にも百貨店側から直接依頼されて1000食を出品するという。日本経済新聞やテレビ東京系「出没!アド街っく天国」や、日本テレビ系「メレンゲの気持ち」など数々のメディアで絶賛された“静岡限定生あじ寿司”を、この際にぜひ賞味してみたい。時代は「安近短」。横浜からこの弁当を求めて修善寺、三島の駅に出向くより、新宿の方が安上がりだ。

 「食」では異端、北端の巨匠、西村淳さんの著書「面白南極料理人」(新潮文庫)を原作にした映画「南極料理人」が映画化されることになった。主演は何と、いま最も注目される性格俳優の堺雅人さん。「アフタースクール」「クライマーズ・ハイ」などの演技で報知映画賞助演男優賞などに輝き、お茶の間では大河ドラマ「篤姫」の家定役で2008年の話題を総取りした若手演技派だ。

 その前に西村淳。実はこのコラムでも100回くらい登場していただいている北海道は留萌市出身の網走育ち。現役の海上保安官にして、いまは京都・舞鶴の海上保安学校で「海猿」たちを鍛える教官。その立場にありながら、実はかつて、南極越冬隊員として2度も氷点下40度の極寒で隊員たちの胃袋を管理してきた屈強な料理人である。

 語れば切りがない。テレビ、書籍での露出は幅広く、最近では日本テレビ系「おもいッきりいいテレビ」に生出演し、八代亜紀さんらを前に南極仕込みの“臨機応変お手軽サバイバル見せかけレシピ”を披露し、コーナーの持ち時間を大幅に上回って大受けした人物だ。札幌の報知新聞北海道支社に転勤になったときに知り合って以来の付き合いで、こちらグルメではないため、もっぱら海上保安官としての武勇伝を聞くのが楽しみだった。報知の企画「団塊」にも登場していただいている。

 映画化話を初めて聞いたとき、西村さん役にふさわしいのは西田敏行かなと想像したのは素人考えだった。あの冒険王、植村直己さんを映画で演じた釣りバカ浜ちゃんをイメージするのは容易だが、今回が長編映画初メガホンの沖田修一監督は、イメージのミスマッチが作品の成否にかかわることを知っていた。なぜなら、西村さんは「サバイバル」の伝導師として活躍している。そのゴツさとは真逆の、早世した徳川家定、堺雅人さんの意外性に賭けたのだ。ひ弱イメージのサバイバル。ロケ地は北海道。完成が楽しみです。

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高尾 友行

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