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2010年1月12日 (火)

パンチ力700キロの衝撃度

 プロボクシングWBA世界スーパーフェザー級王座を獲得した内山高志(30=ワタナベジム)のパンチ力は約700キロあり、ゲームセンターの測定器を何台も破壊したほどの威力だという。

 ボクサー以外の一般人は何キロ位あるのか。ゲームセンターで測ったことがなく、身近にも体験者がいないため分からないが、76年モントリオール五輪前に連載した「スポーツ その構図」という企画の中でパンチ力そのものを取材したことがあったので、記事を引っ張り出してみた。

 結論からいえば、当時ボクサーのパンチ力を研究していた日本ボクシングコミッションの吉田幸夫ドクターの測定方法と、ゲームセンターのそれとは全く異なるため比較になりそうにない。写真で見た吉田式は、大きなサンドバッグにゴム状の薄い板がはってあった記憶がある。ちなみに吉田氏が実際に測定したムハマド・アリについては、右ストレートが198キロ、左ジャブ108キロ、左フックは160キロだった。

 ほかに、「ハンマー・パンチ」の持ち主、藤猛(元世界スーパーライト級王者)は左右ストレートが200キロ、同フックはアリをしのぐ210キロもあった。フライ級からライト級、体重50~60キロ程度だと測定値に大差はなく、日本ランキング上位者で平均約140キロ。アマチュアでは約100キロ。いずれも30年以上前の数字だが、同じ吉田式なら現在のボクサーも大きな違いはないだろう。また、吉田氏の測定データはあくまでサンドバッグを相手にした場合であり、実戦では相手の動きが複雑に加わるため数字化は難しい。

 パンチ力が700キロ、あるいは200キロといわれても、その衝撃、破壊力は実際に殴られたものにしか分からない。「スポーツ その構図」の企画意図もそこにあった。吉田氏の答えはこうだった。「寺の鐘に撞木を力いっぱいたたきつけると、その瞬間、分厚い鐘がゆがむ。その衝撃力と同じです」

 鐘の厚さ、重さ、撞木の大きさなどによって違うだろうが、想像するだけで妙に納得してしまった。記事に付いた見出しは「必殺パンチは“つり鐘”の衝撃力」だった。

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高尾 友行

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