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2014年1月 8日 (水)

奈良・壷阪寺の大観音へ歩け

 近鉄南大阪線の壺阪山駅の近くでは、車窓から東側に見える高取山の中腹あたりに、巨大な白い人影が見える。以前から気になっていた。壷阪寺の「天竺(てんじく)渡来 大観音石像」という。2014年最初の本格的ウオーキングは、その巨大な石像を目指して山道を登った。着いてみると、そこは室町、江戸時代の木造のお堂の周囲に、白い石彫仏が点在する不思議で魅惑的な別世界だった。

 壺阪山駅は特急も急行も停車するが、そこから壷阪寺までの2次アクセスは心細い。駅舎を出てバス停の時刻表を見たら、次のバスまで1時間以上、待たなければならない。実はバスが留まっていれば乗るつもりだったが、この状況では所期の目的通り歩くしかない。

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 駅の東側を走る169号線を渡ると、すぐに石畳の土佐街道に出た。標識に「壷阪寺3・8km」と書かれている。1時間くらいで着くはずだ。壷阪寺の表参道に当たる古い町並みを歩いていると、観光案内所があったので道を訪ね、地図をもらった。心強い。
 石畳の道は高取山山頂(標高583・9メートル)にある高取城跡へ続いていて、壷阪寺へは途中で道をそれて、杉林を抜けるハイキング参道を行くか、バス通りを行くか。ガイドもなしに、いきなり初めてのハイキング道に入るのはちょっと怖いので、バス通りを行く。

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 ところがこのバス通りはS字カーブが延々と続くうえに急勾配。いくら登ってもお寺の山門すら見えてこない。地図をよく見たらハイキング参道は直線コースだ。後悔先に立たず。バス通りに入って30分。額から汗が流れ落ちるほど苦闘したところで、ようやく駐車場に着いた。1時間と少しで登りきった。そこにちょうど路線バスがやってきた。その1時間は有効に使ったのか、それとも無駄に疲れただけなのか。考えるのはやめた。
 受け付けで拝観料600円を払って境内に入ったとたん、疲れは吹っ飛んだ。まずは高さ5メートルの台座に鎮座した身の丈10メートルの真っ白な大仏様が見える。「天竺渡来 大釈迦如来石像」だ。その手前に少し小ぶりの石像が3体。文殊菩薩と普賢菩薩と十一面千手観音菩薩。正面から眺めると壮観だ。

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 そして視線を上の方に向けると、見えた。高さ20メートルの、あの大観音石像だ。観音様が建っているのは本堂のある境内とは道路ひとつ隔てたラベンダー園で、トンネルでつながっている。近くへ行って見上げてみる。やさしいお顔だ。実はこれまでに50メートルを超える会津慈母大観音や加賀大観音、小豆島大観音、久留米の救世慈母大観音を見たが、巨大すぎてSF映画を見ているような気分になった。しかし20メートルだと、親しみと威厳とパワーを感じるから不思議だ。
 園内は棚田のようになっていて、大観音は一番上の段。そして一番下の段には身の丈8メートルの大涅槃(ねはん)石像が横たわっている。涅槃石像のお顔のあたりに近づいて見上げると、観音様と目が合った。何とも魅惑的な眺めだ。
 壷阪寺の先代住職がインドでハンセン病患者救済事業に取り組んできたのが縁で、インド政府から石の山を提供され、インドの職人たちがその石を彫って作ったのがこれらの石彫仏群。インドでは石彫は地場産業で、その振興にも役立っているという。

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 壷阪寺は眼病封じのお寺として知られているが、高取山の中腹から深い慈悲の眼差しで奈良盆地を見下ろす石彫仏群と、重要文化財の三重塔や朱塗りの多宝塔などが調和した景観は素晴らしい。夢中になって写真を撮っているうちに、この日の最終バスは行ってしまった。(文と写真・鬼塚 静信)

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