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2018年8月30日 (木)

インスタ映えする?奇岩パーク

 紀伊半島の南端に近い和歌山県古座川町は奇岩の宝庫。1400万年から1500万年前にこの地で起こった大規模な火山活動の名残が、およそ人間がイメージ出来る形状から極端に逸脱した奇妙な風景を演出している。今回、その奇岩を目当てに初めて取材に行ったが、不思議な事に気づいた。

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 まずは「高池の虫喰岩」。ひと目見て、これは絶景なのか、SFホラーなのか迷うところだが、その両方の要素を備えている。県道をはさんだ向かいの道の駅「虫喰岩」の駐車場から眺めると、浸食された複雑な岸壁の造形が、一瞬、人の顔をデフォルメしたようにも見える。

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 しかし、県道を渡り、至近距離で見ると、無数の穴が巨大な蜂の巣を連想させる。映画に出てくるエイリアンやプレデターが潜んでいそうな不気味な雰囲気だ。アップは絶景とは言い難い。ただしインパクトは、過去に見た室戸岬のダービタイトや兵庫県豊岡市の玄武洞よりはるかに強烈だ。
 不思議な事というのは、この虫喰岩の大きさ。向かいの駐車場に県が設置している解説パネルには、高さ20メートルの岸壁と明記されている。ところが、取材に行く前にインターネットで検索してみると、高さは60メートルになっていた。

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 60メートルといえば、マンションなら20階建てくらいの高さになるはずだが、現場で見た感覚では、そこまで高くはない。最初の写真で、岩の前に生えている木の高さと比べてみたら、だいたいの高さは想像がつくはず。木は決して樹齢数百年の巨木ではない。
 こういう風景は現在では「インスタ映え」の価値がありそうだが、そこには日本列島の成り立ちを解明する重要なヒントが隠されているし、数千年、数万年という悠久の時間の造形というロマンも感じることが出来る。

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 絶景ポイントや奇岩のある風景では、眺める人の様々な価値観がぶつかり合っているのだろうが、そんな多様な価値観に対応したプロモーションも、過疎化という厳しい現実の中で町の活性化を図る観光行政に必要ではないだろうか。とりあえず「高池の虫喰岩」は、少し離れた場所から撮影すると、インスタ映え間違いなし、と書いておこう。
 古座川町にはほかに、一枚の岩盤としては日本最大級の「古座川の一枚岩」と、川床の岩盤に様々な形の穴がいっぱいあいている「滝の拝」などがあって、まるで奇岩パーク。ただし、「一枚岩」は魚眼レンズを使わないと全景を収めるのは難しそう。魚眼レンズを使えば「エアーズロック」のように写るらしい。「滝の拝」は相当な技術がないと見栄えのする写真にはできないだろう。やはり撮るなら「高池の虫喰岩」。

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 なお、一枚岩のそばに道の駅があって、鹿鳴館というお店で食べた「ジビエバーガー」が最高においしかった。古座川町では鹿肉を「金もみじ」というブランドで売り出しているが、この日の100%鹿肉バーガーは臭みゼロ。まるで高級牛肉を使ったパテかと思うほど美味だった。獣害対策と町の活性化を兼ねたこのジビエ。食べながら、素晴らしいと感動した。(2018年8月30日、文と写真・鬼塚 静信)

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