「ラストサムライ」ロケ地で
書写山円教寺は966年に性空上人によって開かれた西国三十三霊場の二十七番札所。境内には13棟もの重要文化財がある。中でも本堂に当たる「大講堂」、修行僧が生活する「食(じき)堂」、修行と学問を行う「常行(じょうぎょう)堂」の重要文化財3棟が、コの字型に配置された空間は、ハリウッド映画「ラストサムライ」(2003年)のロケ地として知られている。渡辺謙の米進出第1弾として映画ファンなら知らない人はいないはず。
明治新政府の改革に反乱を起こす旧士族と、新政府の要請で来日した南北戦争の英雄との心の絆を描いたストリーで、西郷隆盛と西南戦争がモデル(かなりデフォルメされているが)。NHK大河「西郷どん」がクライマックスに近づけば、再び注目されそうな映画だ。
その「ラストサムライ」に俳優として出演した原田眞人監督が、その後、「駆込み女と駆出し男」(2015)で江戸時代の駆け込み寺に見立て、昨年公開の「関ヶ原」では合戦直前の家康の陣の撮影が行われた。
円教寺の建築物の中でも、岩山の中腹に造られた「摩尼(まに)殿」は昭和初期の再建だが、大講堂、食堂、常行堂は3棟とも室町時代中頃に再建されたもので、その風格は、まさに本物の戦国ロケーションだ。その場に立つと、一瞬で時空を超えた気分。麓から境内までは登山道もあるが、ロープウェイと山上マイクロバスで楽に入山できる。
さて、姫路といえばすぐに「姫路おでん」を思い起こすが、播磨灘に浮かぶ家島諸島・坊勢(ぼうぜ)島近海で養殖されているマサバ「ぼうぜ鯖」が最近、注目されている。本格的に出荷が始まれば、刺し身がいただけるからだ。サバは足が早いから、生で食べられる環境は限定される。そして、生のサバは本マグロよりもおいしいと断言できる。
姫路市白浜町の「JFぼうぜ 姫路とれとれ市場」では、11月になると坊勢サバを活魚で運んでくるという。今回の取材では、旬はまだまだ先の坊勢サバを特別に刺し身にしてもらったが、すでに脂が乗り始めて、舌の上でトロトロになった。水温が下がって、もっともっと脂が乗ってくると、どこまで美味になるのか楽しみだ。11月18日には、その坊勢サバの刺し身が試食できる「ぼうぜ鯖まつり」も行われる。オススメだ。
書写山円教寺へのアクセスなど詳細はここから。
http://www.shosha.or.jp/
ぼうぜ鯖まつりについては、ここから。
https://www.jalan.net/event/evt_227372/
なお、このブログへの投稿は今回が最後になります。これまでご愛読ありがとうございました。(2018年9月28日、文と写真=鬼塚 静信)
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