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2011年6月19日 (日)

【再録】「加藤が見た」武田勝8回0封も援護なし…ファンからは温かい援護

 続いて6月14日、甲子園での阪神・日本ハム戦で、孤立無援の武田勝投手を「見た」原稿です。勝ち星が伸びなくても、ファンはその力投を、きちんと見ています。

 やっぱり「持ってない」のかな…。黒土のマウンドで快投を続ける武田勝を見て、そう思った。8回4安打無失点、73球のエコ投球。3回は先頭・新井良に中前安打を浴びたが、わずか4球で無失点に封じた。ああ、それなのに。9回からリリーフした増井がサヨナラ打を浴び、チームの連勝は6でストップ。勝利投手にはなれなかった。

 防御率は12球団トップの1・30。だが、タケちゃんが登板する試合、味方の平均得点は1・4にまで落ちる。この日も岩田に完封された。先発10試合のうち、6試合は完封負けという怪奇現象。4勝5敗と、依然として黒星が上回ったままだ。

 でも、毎度のことだけど、勝っても負けてもタケちゃんはポーカーフェースのまま。「こういう展開でゼロに抑えられたのは、次につながります。先発投手として仕事ができたので、プラスに考えたい」。援護してくれない打線へ嫌みの一つも言いたいだろうに、おくびにも出さず、帰りのバスに乗り込むのだった。

 いつも謙虚な左腕の身に“異変”が起きている。この日のオールスターファン投票第2回中間発表で、武田勝は3797票を集め、パ4位にランクインした。西武のエース・涌井をも上回る人気。試合前、本人に伝えると「ホントですか? それはないでしょう」と笑われた。でも、数字は雄弁だ。耐え忍び、一生懸命に仕事をする男に、ファンは清き一票を投じ、支持を表明しているのだ。

 シダックス時代の恩師に当たる野村克也さんは、かつてこう言った。「いい仕事をすれば、必ずどこかで、誰かが見ている」。古き良き日本人の薫りが漂うサウスポーは、知らぬ間に熱烈なファンを「持っていた」。(2011年6月15日付「スポーツ報知」東京本社版掲載)

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