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2011年6月 1日 (水)

陸の王者、天皇杯奪回。理工学部の守護神に刮目せよ

 プロ野球の担当に転じた今でも、やはり神宮の熱闘は気になる。30日の早慶戦では慶大が4-3で早大を振り切り、2季ぶり33度目のVを完全優勝で飾った。春連覇は実に64年ぶりの快挙だという。全日本大学野球選手権には2年連続の出場。日本一を懸けた戦いに挑む。

 したたかで、しぶとい。いやらしい。CS中継で録画し、見続けた春の慶大の印象だ。早慶1回戦の2ランスクイズなど、江藤監督の老獪なタクトはもちろんだが、それを瞬時に理解して遂行できるナインの実行能力を称えたい。ベストナインには優勝チームでありながら、三塁手・山崎錬と外野手・伊藤隼太の2人しか入っていない。これは実は誇るべきことで、いかにチームとしての総合力で勝ってきたかを証明しているとも言える。

 遂にこの境地に達しちゃったな、と見るたびにニヤけてしまう投手がいる。3年生の福谷浩司だ。理工学部電子工学科に在籍する異色のインテリ守護神。弊紙アマ野球キャップ・片岡泰彦の取材によれば、江藤監督は昨年の早大を見て、ストッパーを置くことを決断したという。早慶2回戦では自己最速を2キロ更新し、155キロを計時。全13試合中、12試合に登板し、0・59で最優秀防御率賞を受賞した。片岡キャップの話によれば「完全に『大石化』しています。ストレートと分かっていても、大学生じゃ打てません」。

 愛知・横須賀高では速球派として知られていた。ドラフト2位で楽天入りした中川大志を擁する桜丘との試合が08年夏の東愛知大会初戦で組まれ、当時アマ野球キャップだった私は、わざわざ片岡に愛知まで取材へ行ってもらった記憶がある。この試合では0-6で完敗し、福谷はその秋、プロ志望届を出すのだが、ドラフトでの指名はなかった。万が一、ここで指名されていたら、彼の最終学歴は「高卒」だったんだろうか?

 昨年の大学選手権を思い出す。6月9日、慶大は桐蔭横浜大との初戦に臨んだ。第4試合、プレーボールは午後6時34分のナイトゲームになった。福谷は4安打1失点で完投し、勝利投手になるのだが、チーム関係者からの話に私は驚いた。何とこの日の午前中、福谷は矢上にある理工学部の研究室で実験をこなしていた。それから東横線に飛び乗って神宮へ向かい、ユニホームに着替えて快投したというのだ。おいおい、全国大会だぜ! 文武両道にも程があるだろ!!

 3回戦にまでもつれることが多かった昨秋には、こんな話をしてくれた。「月曜には『量子力学基礎』『デジタルアナログ回路』と必修科目の講義が集中してまして…。友人にノートを見せてもらい、書き写します。手で書かないと覚えられないんです」。

 この秋、早慶2回戦では1失点完投し、あの大石から2ランを放つなど投打に活躍。50年ぶりの早慶優勝決定戦へと導いたことも記しておきたい。あの日、福谷が奮闘しなければ、それから2日後、「持っているのは…仲間です」と斎藤佑樹がスピーチすることも、なかった。

 昨年の大学選手権準決勝。陸の王者は東海大・菅野智之の前に17Kを喫し、4安打完封負けと屈辱にまみれた。菅野が出場できず、リベンジの機会がないのは残念だが、全国の強豪を相手に粘り強く戦って欲しい。12日の決勝は休暇を取りました。神宮へ行くぞ。現アマ野球担当の皆さん、「加藤がきたよ。うぜーなー」と陰口をたたかないでね。

【追記】
 江藤監督、優勝おめでとうございます。江藤監督が就任した際、まだアマ球界には「元プロが六大学の監督になるなんて!」といった雰囲気があった。就任会見では、一部報道陣から慶大サイドにそんな質問も飛んだ。

 その時、野球部長だった理工学部教授の前島信さんは、こう答えた。「私は数学のプロです。慶應義塾は昔から、プロが学生を教えるところなんです」。この一言で、空気は変わった。今大会では名将・古葉竹識さん率いる東京国際大も出場する。野球を愛する者のひとりとして、いい形でプロアマの交流がさらに進んでいくことを、願うばかりです。

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コメント

文武両道といえば、慶応の理工4年福谷選手がドラフト1位で指名されましたね。文武両道ですごいですね。がんばってほしいです

サっカー界には文武両道で有名な東大卒Jリーガー久木田さんや他にも岡田武史さん、宮本恒靖さん、橋本英郎さんが文武両道で有名です。、ゴルフ界といえば、坂田信弘さんくらいしか思い浮かびません。


しかし、大学ゴルフ界に文武両道プロゴルファーになる卵がいます。
東大法学部4年の高野隆

彼は朝日杯争奪日本学生ゴルフ選手権には4回出場し、6位に入った。他にも、日本学生ゴルフ選手権3回出場、日本アマ出場、トップクラスで活躍するスーパースターです。

九州大2年の永井貴之

彼は九州ジュニアゴルフ選手権4位、国体選手にも選ばれた。日本学生ゴルフ選手権出場などの結果を残している、全国大会の常連のスーパースターです。

和歌山県立医科大学医学部医学科1年の辻田晴也

彼は関西高等学校ゴルフ選手権2位、全国高等学校ゴルフ選手権に3回出場など全国大会の常連で、西日本医科総合体育大会2位,
関西学生秋季新人戦2位の実績を持つ選手です。。

他のスポーツ界に負けず、文武両道3羽ガラスが将来プロゴルフ界で活躍すればなぁーと思います。

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