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2011年9月26日 (月)

【再録】斎藤番記者コラム「西武鉄道は青春の“私鉄沿線”」

 8月28日の本紙に掲載された番記者コラムから。西武ドームでの西武・日本ハム戦に斎藤が先発し、8回1死まで無失点の快投。完封まで残りアウト5つに迫りながらも、おかわり君に3ランを浴び、救援陣が何とか1点差で逃げ切って5勝目を挙げた試合でのテキストです。この日の西武ドームでは、東伏見や神宮でよくお会いしたアマチュア時代からの斎藤ファンが多数詰めかけ、わたしも何人かに話しかけられました。斎藤にとっては、アウェーなのに、ホームな感じだったなあ。

 8月最後の土曜日。チビっ子にとっては夏休みの宿題にラストスパートをかける時期だが、西武Dは超満員だった。お目当ては、ローテ投手として首都圏初見参の佑ちゃんだ。ご縁があって北海道へとお嫁に出しちゃったけど、生まれも育ちも関東。里帰りした姿を目に焼き付けようと、3万2282人が集結した。

 前夜、予告先発にその名がコールされた際のどよめきは、すごかった。試合後、西武ドームのスタジアムDJはわざわざ、「あすは斎藤佑樹投手が先発します。ぜひ足を運んで下さいね~」と異例のアナウンスを流した。敵の投手だというのに!

 この日も大勢のファンを運んできた西武鉄道は、斎藤にとって青春の“私鉄沿線”だ。早実時代のアパートは、西武多摩湖線の一橋学園駅前。早大の合宿所は西武新宿線の東伏見にあった。実に7年間、プロ入りの夢を抱いて、「黄色い電車」に揺られていた。

 西武線の思い出って、何かな?

 「乗客の方が優しいんですよ。『斎藤だっ!』と気づいても、見て見ぬフリをしてくれるんです」

 その一方で、西武が運命のドラフトで指名したのは、チームメートの大石だった。

 西武ドームと2軍の「若獅子寮」は徒歩5分の距離にある。華やかなスポットライトを浴びる天国と、汗にまみれる地獄が隣接する。いまだに1軍登板のない大石は言う。

 「寮で晩ご飯を食べていると、ナイターの歓声が、めちゃくちゃ聞こえてくるんです」

 この夜、斎藤へ注がれた子供たちの大声援は、ファームでもがき苦しむ大石の耳に、どう届いただろうか。親友の熱投に、ジェラシーを抱いたに違いない。斎藤VS大石。球場行きの黄色い電車が大混雑しちゃうような、夢の投げ合いが見たくなった。

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