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2011年10月15日 (土)

【再録】斎藤番記者コラム「鉄腕・稲尾が『持ってる男』を生んだ」

 日本ハム・斎藤佑樹投手のレギュラーシーズンは12日のオリックス戦(京セラD)をもって終了しました。(http://hochi.yomiuri.co.jp/feature/baseball/saito/news/20111013-OHT1T00047.htm)エース・金子千尋を相手に一歩も引かぬ投げ合いは、プロ1年目の成長を十分に感じさせるものでした。彼のこれからがとても楽しみです。さて、このほど発売されました「報知高校野球」11月増刊号にて、今秋ドラフト候補の「大学BIG5」について、斎藤投手にインタビューしてみました。ぜひとも読んでみてください。以下のコラムは6日の楽天戦(札幌D)の際に書いた原稿です。あれから1年かと思うと、何だか感慨深くなりますね。

 「神様の稲尾さんを飲んじゃったんで、バチが当たったのかなあ…」

 斎藤佑樹が東大に負けた原因を、早大前監督の応武篤良さんは、冗談交じりにこう振り返る。

 今から1年前、10月1日の夜だった。応武さんは合宿所近くにある居酒屋で、先輩OBと焼酎のグラスを傾けていた。

 東京六大学秋季リーグ戦も第4週。翌2日からは東大戦だ。当時、東大は35連敗中。それまで秀才軍団を7戦7勝とカモにしてきた斎藤に負ける要素はない。リーグ通算30勝の達成は目前だった。この日は金曜日。公開練習では、担当記者が節目の勝利を彩るエピソードを引き出そうと、躍起になっていた。

 酒は進んだ。ふと、応武さんは瓶が並ぶ棚を見上げた。目に入ったのが「鉄腕伝説・稲尾和久」という名の芋焼酎。「前祝いだ。飲んじゃうか」。気分良く飲み干した。

 一夜明け、東大1回戦。斎藤の持ち味となる制球力は鳴りを潜め、逆球が目立った。バックの守乱もあり、7回3失点で東大戦初黒星。ドラフトの目玉が味わった屈辱に、報道陣は色めき立った。

 だが、この1敗は斎藤の人生を大きく好転させる。早大がダントツでV―と思われたリーグ戦は、50年ぶりの早慶両校による優勝決定戦にもつれ、斎藤は勝利投手に。「持っているのは…仲間です」の名スピーチも生まれ、流行語大賞の審査員特別賞も受賞した。東大戦で普通に勝っていたら“持ってる男”は、この世に誕生していない。バチが当たったのではなく、稲尾さんが粋な計らいをしたとさえ思えてくる。

 この日、投げ合った楽天・戸村は立大OB。東大に負けた斎藤だが、立大には通算6勝無敗と無類の強さを誇った。「神様、仏様、斎藤様…」ほどではないものの、7回無失点の快投でたぐり寄せた6勝目。天国の“鉄腕”も、プロ1年目の成長を喜んでいるに違いない。(2011年10月7日「スポーツ報知」東京本社版掲載)

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