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2012年5月 8日 (火)

【再録】「加藤が占う」スランプなき武器。武田勝の嗅覚に刮目せよ

  きょう8日、3・4月の月間MVPが発表になり、パの投手部門では日本ハム・武田勝が初受賞しました(ちょっと意外っ!)。シダックス時代に出会ってから、今年で9年。見るたびに進化を遂げ、魅せてくれるサウスポーには、深い思い入れもあります。こちらのコラムは4月29日の楽天戦(Kスタ)で2安打完封し、ハーラートップタイの4勝目を挙げた際に書いたもの。「日本一早いハーラー予想」ということで、最多勝を獲ると占ってみました。

 武田勝は今季、最多勝を取る。そう確信したゲームだった。長いシーズン、どんな一流投手にも体調面で好不調の波はある。だが、洞察力にはスランプがない。打者の狙いを察知する嗅覚こそが、技巧派左腕の武器。改めてそのすごみを感じた96球、2安打完封劇だった。

 この日、楽天打線に指令された武田勝攻略法は「ゾーンを上げ、ワンバウンドを振るな」というもの。サウスポーはそれを察知したのだろう。普段はもっと低めにボール球の変化球を投げるのだが、ストライクゾーンで勝負する場面が目立った。圧巻は4回、イヌワシ打線のクリーンアップをチェンジアップ3球で3アウトに仕留めた。

 立ち上がりは制球に苦しみ、2回には1死一、二塁のピンチを招いた。ここで二塁走者・牧田のリードに左腕の嗅覚が働いた。けん制で殺し、一気に波に乗った。プロ6年間で完封は1度だったが、今月だけで2度目の完封。オフの間、体幹をいじめ抜き、体力を増強した効果が表れてきた。楽天には通算19勝8敗と、完全にカモにしている。

 1月、鋭敏な洞察力を身近に感じる機会があった。中伊豆での自主トレ中、取材がてら宿舎に押しかけたところ「一緒にやろうよ」と夕食後のカードゲームに入れてもらった。私はポーカーフェースで臨んだが、連戦連敗。おかしいな…。終了後、恥を忍んで敗因を聞いた。マサル君はこう笑った。

 「カードを配られた瞬間のちょっとした表情とか、声の大小、それからかすかな指先の動きね。加藤さん、悪いけど、全部お見通しだったよ」

 これが3年連続2ケタをマークした技巧派左腕の“五感”か。鋭い感性に思わず鳥肌が立った。

 自身4連勝。ハーラートップタイの4勝目を挙げた。ダルビッシュ渡米後、最多勝の有力候補であるはずの楽天・田中、西武・涌井の沢村賞右腕が、ともに2軍落ち(注・涌井は5月4日に1軍登録)。世間の注目も、弟分の斎藤佑樹に集まる。そんな中、ひょうひょうと白星を積み重ねてしまうのでは―。勝ち続けるマサル君の洞察力に、今後も熱視線を送っていきたい。あの夜のリベンジを、待ち望みながら。(2012年4月30日「スポーツ報知」東京本社版掲載)

 【追伸】稲葉さんが2000本安打を決めた4月28日の試合前にはKスタ前の特設ステージでトークショー「わしわしイーグルス」に出演させていただきました。スタジアムDJの古田優児さんは同じ松井秀喜世代。古田さんの活力みなぎるコール、大好きです(特に鉄平と嶋)。オファーして下さった楽天イーグルス・ファンエンターテイメント部さんには心から感謝します。杜の都の楽天ファンの皆様、温かいリアクション、どうもありがとうございました。


YouTube: [イベント]EAGLESTATION@Kスタ宮城 番記者トークイベント_20120428

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