「一生懸命、何歳になっても」。永遠の高校球児、大崎雄太朗のド根性
4月29日、西武は楽天を8-4で下し、渡辺久信監督が就任1年目で日本一に輝いた08年以来、5年ぶりに6カード連続の勝ち越しを決めました。若い力が続々と台頭する中で、ヒーローに躍り出たのは普段は脇役の28歳。代打の大崎雄太朗外野手でした。
この日の西武ドームの目玉はタレント・柳沢慎吾さんの来場だった。試合前にはテレビでもおなじみの名人芸「ひとり甲子園」を披露した。「夏の甲子園準決勝・横浜VS大阪桐蔭」と銘打ち、投手、打者からベンチの監督、応援団、NHKの実況アナから阪神園芸に至るまで、すべて1人で演じきるというオンリーワンの傑作だ。
慎吾さんは大の横浜高校マニアで、特に名将・渡辺元智監督の采配を再現する際には、敬意ゆえの緊張感が漂う。芸の根底にあるのは高校野球への強い愛に他ならない(新ネタ「東海大相模」「智弁和歌山」も素晴らしかった)。51歳になるが、高校球児になりきり、大粒の汗を流しながら熱演するのだ。
ライオンズの中にも、高校球児のような気持ちでグラウンドに立つ男がいた。大崎だ。5点リードから1点差に迫られた5回。2死満塁で代打に起用された。高堀の直球を左中間にはじき返す2点タイムリー。今季初ヒットは、再び流れを引き寄せる値千金の一打になった。お立ち台では「思いを込めて打席に立てたと思います」と胸を張った。
屈辱からはい上がった。昨季107試合に出場し、外野の準レギュラーだった男が開幕直後の3日、2軍降格となった。不満を抱いてもおかしくないが、大崎は違った。潮崎哲也2軍監督にこう直訴したのだ。
「試合に1打席でも多く立たせて下さい。どこでもやれます。三塁でも一塁でもいけます」
ファームでは二塁も守り、泥くさく全力プレーに徹した。ド根性で27日に1軍昇格を勝ち取った。
帰り際、西武ドームの駐車場で大崎は言った。
「ひたむきさや一生懸命さは、何歳になっても変わりません」
高校時代の恩師で、常総学院の監督だった木内幸男さんは選手への厳しい指導で知られる。それでも「ここ一番」での大崎の勝負強さには一目置いていた。今年2月の南郷キャンプで、大崎はこんな話をしてくれたことがある。
「みんなが打てない時こそ『オレの出番だ』と思って打席に立っています。厳しい場面で打った方が目立ちますから。勝負所での一本が自分の武器。木内さんからもそこだけは褒められたんですよ」
派手さはないが実直に野球と向き合う大崎を見つめ、慎吾さんもこう言い残して満足げに西武ドームを後にしたに違いない。
「あばよッ、いい夢、見ろよ!」
【追記】
試合前の柳沢慎吾さんのトークライブはゲート前特設ステージで行われた。わたしもかぶりつきで見ていたのだが、妙なデジャヴに襲われた。そうだ。20数年前、「高校生クイズ選手権」に出場し、福沢「ジャストミート」朗さんの問題を聞いたのがちょうど、ここだった。
「UWF」のTシャツを着て、水戸駅の始発に飛び乗った。西武球場までは鈍行で5時間かかったが、1問目で敗退して帰った。1学年下のクイズ研究会の後輩3人はこともあろうに全国制覇を果たし、夏休み明けの水戸一高はちょっとしたフィーバーになった。まさか30代最後の年、ここが「職場」になるだなんて当時、1ミリも想像できなかった。
雫石での菊池投手のトークショーで主さまをおみかけいたしました。
私も出身が茨城なので大崎選手の活躍は本当に嬉しいです。
ライオンズの情報これからも発信よろしくおねがいいたします。
ちなみに私は水戸一高ではなく二高です
投稿: まみ | 2013年5月 1日 (水) 14:50