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2008年7月 7日 (月)

超スローボールを武器にした男(第412回)

 日本ハム・多田野数人投手が6月18日、広島球場で行われた広島戦で5回、シーボルに対して超スローボールを投げこみ遊ゴロに打ち取った。7月5日にはタイガースの新人アーマンド・ガララーガも、イチローに約80キロのカーブを投げこんだ。「(本塁打を打とうと)狙った」というイチローだったが、結果はボールの下をたたいて右飛に終わった。

 多田野はインディアンス時代の2004年9月2日、ヤンキース戦で米大リーグ(MLB)を代表するスラッガー、アレックス・ロドリゲス内野手に、同じようなスローボールを投げ込み、三ゴロに仕留めている。当時は「マイナーから自分の存在をアピールするために、1試合に1球ごと試していた。打ち取ったのは初めてだ」と話している。インターネットで検索すると、昨年もアスレチックス傘下3Aサクラメントで披露した映像がスポーツニュースで取り上げられているのを発見。

 このような超スローボールを、米国では、「ブルーパー・ピッチ(Blooper pitch)」や「イーファス・ピッチ(Eephus pitch)」と表現しているが、米国ウィキペディアでは、その使い手の一人として、Kazuhito Tadanoの名前を掲載。米国では一部のマニアの間で知られる存在だった。米国のプロ野球で生きていく一つの武器として、あの山なりのボールでストライクゾーンに投げこむコントロールを身に着けたようだ。

 MLBで超スローボールの代名詞と言えば、戦中、戦後に通算147勝97敗をマークしたリップ・スーウェル投手。1941年12月に狩猟に出かけ、別のハンターの誤射で左足親指を負傷した。右投手が踏み出した際に最も体重がかかるだけにピッチングフォームの変更を余儀なくされ、それで編み出したのがブルーパー・ピッチ。直球、スライダー、カーブなどとのコンビネーションで1943、44年にパイレーツで2年連続21勝。オールスター戦にも4年連続選出。最後の出場となった1946年には、試合前から、最後の4割打者(1941年)として知られるレッドソックスのテッド・ウィリアムスに伝家の宝刀を投げ込むと宣言していた。

 3年間の兵役からもどり、初のMVPを獲得することになるウィリアムスは、本拠フェンウェイ・パークで開催されたオールスター戦で4回に中堅越えにアーチを放つなど3打数3安打。そして迎えた8回、ナ・リーグの4番手にはスーウェルがマウンドに上がった。最高25フィート(約7・5メートル)の高さに達すると言われたボールを連投。ウィリアムスはファウルで粘りカウント2-1からの4球目をジャストミート。打球は右翼ブルペンに飛び込んだ。公式戦通算2119回1/3で被本塁打116本の同投手が”魔球”を本塁打されたのはこれだけとも言われている。ウィリアムスは、自らの自伝で、「試合前に(ヤンキースの)ビル・ディッキーに”あれを投げられたら一歩か二歩前に出るんだな”とアドバイスされた」と話し、また後年「あのとき、バッターボックスからでていた(不正打席でアウト)」とも述懐している。

 もし、イチローに心の準備があったらウィリアムスのような打法で本塁打を打っていたかもしれない。多田野、ガララーガのスローボールが一人の昔の投手を思い出させてくれた。改めて、野球の歴史のすばらしさを思い起こさせてくれた。

コメント

どうも初めまして。
以前ここのブログで、故市川昆総監督の「青春」の映画上映を是非!というご要望がありましたが、今兵庫県姫路市の「兵庫県歴史博物館」にて、
7/5(土)、7/12(土)、7/19(土)の3回のみの期間限定ですが、午後の14時からその映画「青春」が上映されるそうですよ!

詳しくは↓をご覧下さいませ。それでは
http://www.hyogo-c.ed.jp/~rekihaku-bo/official/exhibition-sp1.html
http://www.hyogo-c.ed.jp/~rekihaku-bo/images/koushien2.jpg

t-mさん、ありがとうございます。
この告知を見て映画を見られた方は
感想を送ってください。    筆者

 遅ればせながら、「青春」を見てきましたので、感想を書きます。
 わたしが見たのは最終日の7/19で、告知不足だったのか、同時に見ていたのは10名ほどしかいませんでした。
 最初は第50回大会の開会式の映像から始まり、次いで厳しい気候の中で練習に励む高校生の姿が映し出されました。そこまで見て、市川監督といえども朝日新聞社の意向を無視できなかったのだなと思いました。
 次に過去の高校野球の試合の映像が流れ、再び第50回大会の開会式に戻り、そしていよいよ大会の試合の映像になりました。沖縄から参加し、ベスト4まで残った興南高校にスポットが当たっていましたが、特定の選手にスポットを当てるのを意識的に避けたように見えました。準優勝した静岡商業の新浦投手はさすがに目立ちましたが。
 とはいえ、東京オリンピックを撮った時に当時の河野一郎国務大臣から「記録性を無視した」と批判されたという市川監督が総監督を務めたということで、どれだけ芸術的な映画になるのか期待していたのですが、そういう意味での物足りなさは感じました。
 

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