ブログ報知

スポーツ報知ブログ一覧

« 議員宿舎のセキュリティー | メイン | 中国語検定 »

2010年3月27日 (土)

立松和平さんを偲ぶ会

 2月8日に多臓器不全で亡くなった立松和平さん(享年62歳)を偲ぶ会が27日、東京・青山葬儀所で営まれました。一般参列者を含めてご焼香した方は約1000人。ボクシング仲間で親交のある歌人で住職の福島泰樹氏が、読経していらっしゃいました。

 立松さんと言えば、私が高校・大学の頃、テレ朝のニューステーションでの「心と感動の旅」が印象に残っています。山岳部で山に登り、風景を見ては、あの独特の語り口調をよく真似したものです。

014

 私が立教大学3年生だった1991年、立松さんが大学に講演でいらしたことがありました。硬めのテーマだったはずですが、話の中味は気ままな漫談のようなものでした。 立松さんは「その方がいいでしょう」と言って、貧しかった学生時代や貧乏旅行の話をしていました。

 「初めて東京に来た時、食堂に入って『オニオンライス』が一番安かったから注文した。出てきたのは刻まれた玉ねぎだけ。ずーっと待っていたけどご飯は出て来なかった。もう一回献立を見直したら『オニオンスライス』だった。そのときのショックと言ったら・・・。今でもライスが出てくるのを待っているような気がするんだなあ」

 こんな感じの呑気な話でしたが、会場は満席でしたし、結構うけていましたね。

008

 学生からは環境問題についての質問が出ていました。ちょうどその頃は、立松さんがテレビ番組の企画でパリ・ダカールラリーに挑戦した後でした。当時大学生だった私は「ガソリンを撒き散らす道楽をやっている作家が、環境問題を語る資格があるのか」と反感を持っていましたが、この講演のときに立松さんが「やっぱり自分でも矛盾を感じるんだよねえ」と話していたことが最も印象に残っています。

 私が読んだことがある立松さんの作品の中では、その頃に読んだ「遠雷」をよく覚えています。都市化が進む農村で、トマトのハウス栽培に勤しむ青年を描いた作品で、1980年の野間文芸新人賞を受賞作です。単純化して言えばテーマは、農村に押し寄せる都市化の波と、その地に暮らす人々の葛藤、みたいなものだったと思います。

 立松さんの講演での話、今このブログを書きながら思い出しました。「オニオンスライスがトリックだったように、小説家という職業も、文章を書くだけで食べていくのだからトリックを使っているようなもの。でも、トリックでも自分が生きた時代の観念を記録していくのが役割だと思う」

 立松さんは、幅広い分野で著作がありますが、「遠雷」で描いたような昭和の高度成長期も立松さんが記録したテーマの一つでしょう。21世紀の現代に、立松さんの作品どう読み継がれていくのか、楽しみな気がします。

011

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/235990/23710998

このページへのトラックバック一覧 立松和平さんを偲ぶ会:

コメント

 テーミスの秤さんがおっしゃるとおり、私も足を使って取材した文章が一番読み応えがあると思いますね。記者の端くれとして貫きたい姿勢です。

 立松さんは日本の農政の状況を危惧しておられました。私は立松さんの実際に足を使って、どこにでも取材に行かれるその姿勢が好きでした。エッセイやルポはどれも読む人の心に響きます。
 
 日本社会はまた良心的な作家を喪失してしまったように思います。日本の農業のカロリーベースの自給率は40%をとうにきっていて、その潜在的な能力を眠らせたつもりが、実は死んでいたということになりはしないか?という立松さんの警鐘は今も心に響きます。

 ご冥福をお祈りします。
 

 先輩どうも。私はまだ八海山に登ったことがありません。夏にでも行ってみたいと思っています。
 あ、溺れそうになったことならありますけどね(苦笑)

 立松さんといえば、以前「岳人」の百霊峰の連載で私の地元の八海山を登りに来た時、私の同僚数人が一緒に登山したので、この度の訃報には社内でもちょっとした騒ぎになりました。
 私は立松さんの作品は読んだことがないのですが、ニュースステーションでの夜桜中継が印象に残っています。
 ご冥福をお祈りします。

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

甲斐毅彦

2021年10月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック

見出し、記事、写真の無断転載を禁じます。Copyright © The Hochi Shimbun.