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2010年7月27日 (火)

姜尚中さんのインタビュー

 学生の頃から尊敬している政治学者、姜尚中さん(東大大学院情報学環教授)をインタビューさせて頂きました。

 初の自伝的小説「母―オモニ―」(1260円、集英社)が好評です。描いたのは、日本という異国の地でドブさらいや「屑屋さん」をしながら姜さんを育てた母。読み書きすらできなかった母が残したカセットテープによる「遺書」が登場するシーンは涙を誘います。論理的かつ冷静な語り口で数々の討論に挑んできた姜さんが初めて「武装解除」して描いた作品です。

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 この本の著者名は「姜尚中」よりも、本当は日本名「永野鉄男」とした方がふさわしかったのかもしれません。最愛の母が亡くなってから5年。還暦を迎える年に自伝的小説を出版した姜さんはこう振り返りました。

 「母親は最後まで僕のことを鉄男、と呼んでいましたから。最近熊本で幼なじみと数十年ぶりに会いましたけど、やっぱり鉄男と呼ばれるほうが自分らしく思える。『姜尚中』というのは多分に武装された状態なんではないか。この小説は武装解除して書いたと思います」

 在日韓国・朝鮮人として差別から逃れるために名乗っていた「永野鉄男」の名を学生時代に捨て、必死の決意で「姜尚中」を名乗ることにした経緯は前著「在日」でも触れられています。しかし、母が生きて来た時代背景や人々の暮らしや生き様を生き生きとよみがえらせ、幅広い読者を得ることが、今回の小説化の狙いでした。
 「母は文字を知らなかったので、手紙や日記といったものが一切残っていない。僕が生まれた実家も九州新幹線の工事でアスファルトの下に埋もれてしまい、何の痕跡もない。母親たちが暮らした歴史をどこかに残しておきたい。自分が断片的に知っていることと、自分の想像力で、この本を書こうと思ったんです」

  物語は、日本語の読み書きができなかった母が16歳の春、結婚のために海を渡って来る頃までさかのぼっています。この辺りの描写は、姜さんの想像力。「事実」の世界で勝負して来た政治学者の新たな挑戦でした。「書評とかでノンフィクションとして解説されているのを見てほくそ笑んでいる部分があるんです(笑い)。虚構を事実として受け止めてもらえるようなものを書けたのかな、と」

 還暦を転機に、姜さんは作家活動にも意欲を燃やしています。「冗談では直木賞もらったら、大学を辞めようと言ってるんです(笑い)。ちょっと欲張りだけどアカデミックな仕事と小説を車の両輪にしていきたい」。

 すでに作家としての次作の構想2つほどあるそうです。在日世界を描いたものかと思いきや、さにあらず。「一つはメルヘンを書いてみたい。登場人物を二人だけにして対話文でストーリーが成り立つようなもの。もう一つは吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』(戦前に書かれた自己啓発物語)の題をそのまま頂いて『新・君たちは―』を。還暦を迎える年になると、大きなお世話かもしれないけど、今を生きる若い人たちへ(メッセージを)という気持ちが出てきますね」

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コメント

 政治学者・姜尚中教授は在日の青年として苦労された方だと思います。どういう問題に対してもクールな弁舌で、洞察の深さを感じさせるお方です。ただ、姜尚中教授の見解の中で、どうにも日本国民として納得がいかないのは拉致問題と竹島問題に対する先生のスタンスです。
 
 姜尚中先生は2004年の赤旗日曜版で「拉致問題の解決を日朝正常化の前提にしてはならない」と述べておられ、拉致被害者を救出できなくても国交正常化すべきだと説いておられます。そして、この拉致問題(北朝鮮政府による誘拐事件)が、あたかも「従軍慰安婦問題」や「朝鮮人の日本への強制移住問題」と相殺されるかのような論理展開をされておられます。拉致問題は六カ国協議で検討すべきだとおっしゃっておられますが、1960年代に南米の各地でクーデター政権が樹立されいろいろな人権侵害が顕著だったとき、国連は人権小委員会を作って対応したはずです。日本国民の心情で言わせていただければ、戦争状態でもないのに同胞たる国民を誘拐する正当な理由が北朝鮮政府にあるとは思えません。現実に誘拐の被害に苦しみ心身とも疲弊しているかたがたには、北朝鮮政府擁護論がどう拉致被害者の救出に結びつくのか、独裁者を擁護するだけではないのか、理解しがたいと思います。
 
 先生は在日の方の代弁者というスタンスを取っておられるようですが、同じ在日の学者先生でも関西学院大の李英和教授のようにまったく違うことを拉致問題に関して言われる方がおられます。

 甲斐さん、ここまで突っ込むのでしたら、対極にあるお二人の討論をじつげんされたらいかがでしょうか?

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甲斐毅彦

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