再開した被災地の魚市場(塩釜市)
被災地・塩釜市の水産仲卸市場は22日から再開しました。朝6時から約140店舗のうち半分が営業を開始。約5000平方メートルの広い売り場が、にわかに活気づきました。マグロ専門の水上商店の店主、水上晃一さん(53)は原価1万6000円の大トロを5000円で売っていました。ご主人は「スーパーにも魚が並び始めたが、高すぎる。亡くなられたお得意さんもいるけど、生き残った人に少しでも喜んで欲しい」と話していました。
写真はマグロ専門の小島商店です。
鮮魚が最後に入荷したのは震災があった11日。停電により、市場全体で懸念されたのは、冷凍庫の中の生鮮食品の状態でした。一度開いただけでも中の温度は上がってしまいます。「気になって開けたいのは山々だったが、復電するまではこらえた」と水上さんは振り返りました。
電気がついたのは6日後の17日午前。市場全体の鮮魚の大部分は腐り、約1トンぶんが廃棄処分となってしまいました。サケ、イクラ、スジコなどの冷凍製品以外で無事だったのは、鮮魚類では日持ちの良いマグロぐらい。約20キロ残っていたマグロのほとんどを一日で売り切った小島商店の小島長寿さん(70)は「今度はいつ入荷できるか…」とつぶやきました。
主な仕入れ先だった八戸、気仙沼などの漁協は、大損害を被りました。魚が獲れても、運ぶ船も燃料もありません。いつ仕入れの船が来れるのか、見通しが立ちません。市場の共同組合連合会事務局長の茂庭秀久さんは「鮮魚が届かないと市場の活気は戻らない。緊急車両が運んで来てくれるわけでもないし…」とため息。再開はしたが、本来のにぎやかさが戻るのには、まだ時間がかかるようです。
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