「成長戦略のまやかし」
アベノミクスに警鐘を鳴らしている行動派経済学者、小幡績先生の新刊「成長戦略のまやかし」(PHP新書)を読みました。既存の経済構造のままでの成長戦略は理論的に破綻している、と指摘する小幡先生は、真の活力を生み出す原動力は人を成長させるしかない、と説いています。
本書の9終章では、その具体的な提言がなされています。新経済理論から導き出される成長メカニズムは労働力、資本、人の知識の3つを増やすこと。しかし労働も資本も、物量を投入しただけでは規模の拡大にしかならず、経済を質的に向上させることはできない。国民一人ひとりの所得を上げるために必要なのは、質的な向上。となれば、残るは人を育てるしかない。
当然なことのようにも思えますが、実は国を挙げて本気で人を育てるというような取り組みはやっているようで、あまりやっていないように思います。小幡先生は人の成長を軸に、基礎から再構築する必要性を説いた上で、こう指摘しています。「日本経済から失われたのは、新しいものを生み出す力だ。イノベーションをお越し、新しいものを生み出すためには、供給サイドの能力をアップさせることが必要だ。力がないものどうしが競争しても何も生まれない」
失速しつつある日本に不安を感じている方には一読をお薦めしたいと思います。
最近のコメント