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2013年9月 6日 (金)

「血盟団事件」

1975年生まれの保守リベラリスト、中島岳志さんの新刊ノンフィクション「血盟団事件」(文藝春秋)は大変面白い本だと思います。血盟団事件は1932年(昭和7年)に、日蓮主義の僧侶、井上日召が首謀し財界人を狙った戦前のテロ事件として日本史の教科書にも登場します。

 井上日召は「八紘一宇」などの標語を生んだ日蓮系新宗教、国柱会の会員でした。国柱会の信者には童話作家の宮沢賢治や満州事変を首謀した関東軍参謀の石原莞爾がいました。宮沢賢治と石原莞爾は全く共通点がないように見えますが「ユートピア思想」を思い描いていたという点では共通します。法華経に基づく信仰のもと、ユートピアを思想を童話で描いたのが宮沢賢治、満州という「新天地」において西洋の覇道に対抗する東洋の王道でユートピアを具現化しようとしたのが石原莞爾です。

 そして井上日召は、既得権益にしがみつく財界人を暗殺するテロによって、理想社会を実現しようとしたと言えるでしょう。本書では、そこに至るまでキリスト教や禅に触れた宗教遍歴がつぶさに描かれており、大変興味深いです。

 中島さんは現代日本の格差社会、就職難、ワーキングプアなどの諸問題に通底するものが、血盟団事件にはあると論じています。日本史の教科書では一行でしか触れられない一つの事件を題材に現代社会を照らし出す手法は圧巻の一言です。

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甲斐毅彦

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