元小結・海鵬が格闘家デビュー
大相撲の元小結・海鵬の熊谷涼至さん(42)が18日、東京・両国国技館で開催された新格闘技「巌流島」で格闘家デビューしました。リングネームはシコ名の「海鵬」で、米国の総合格闘家、ジミー・アンブリッツ(38)とヘビー級(3分3回)で対戦。相撲で磨いた寄りで、試合を有利に進めましたが、2回2分27秒、パンチによる相手の猛反撃を受けてTKO負けを喫しましたた。試合後は「力を出し切ったんですが、スタミナ不足。でも大舞台でやれて気持ち良かったです」と苦笑いしながら話していました。両国国技館でインタビューしていると、何か私自身が相撲記者をしていた10年ぐらい前に戻ったような気持ちになってきました。
熊谷さんは角界を去った3か月後に東京・錦糸町に加圧トレーニングジム「ベアーズ・スタジオ」を開業。ジムを経営しながら相撲道場「小松竜道場」などで少年相撲のコーチをしています。
今回が2度目の興行となる「巌流島」の参戦オファーを受けたのは今年4月。円形のリングで行われ、リングから1回に3度相手を転落させると一本勝ちとなるルールなどから相撲経験生かせると判断。さらに「国技館でもう一度戦いたい」と思いがこみ上げて参戦を決めました。霧の若も、星風も格闘技で勝利を収めており「相撲が一番強いと思っている。星風であそこまでできるなら」と自信も沸いてきたそうです。
現役時代は177センチ、123キロだったが、引退後は90キロ台まで落ちていました。東京・目黒区にある総合格闘技ジム「NATURAL9」でこれまでに経験のない打撃練習を開始。しかし、あくまでも力士時代に得意だった、左を差して食いついてリング下に転落させるのが作戦。そのために坂道ダッシュなどでスタミナ強化に努めながらも体重は100㌔台に増量しました。
会場には力士仲間やジムのお客さん、相撲道場の教え子らが集まり、国技館に海鵬コールを響かせました。 1回は、アンブリッツのパンチをかいくぐっての一気の寄りで、2度転落させて試合を優勢に進めていましたが、相手の重たいパンチを浴び、顔は徐々に腫れて来ました。2回、パンチで崩され、グラウンドで連打を浴び、レフェリーストップ。
ほろ苦いデビュー戦となりましたが、花道を引き揚げる背中には割れんばかりの拍手と声援が浴びせられた。「体を作り直して時間をかけてやっていきたい」と再挑戦への意欲をのぞかせていました。
42歳。私とほぼ同世代の元力士が戦う姿に勇気付けられました。海鵬関、お疲れ様でした。まずはゆっくりお休みください。
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