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2016年2月

2016年2月20日 (土)

「なぜ私は韓国に勝てたか」

 2014年10月、朴槿惠大統領への名誉毀損罪で起訴された産経新聞前ソウル支局長の裁判闘争記「なぜ私は韓国に勝てたか 朴槿惠政権との500日闘争」(加藤達也著、産経新聞出版)を読みました。

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 1つのネットコラムをきっかけに朴大統領への名誉毀損罪でソウル中央地検に起訴された加藤さんが、2015年12月に「無罪判決」を勝ち取るまでの法廷闘争の表と裏をつづった闘争記です。

 加藤さんは新聞記者として私の5年先輩ですが、学生時代には私と全く同じ時期の1990年夏に韓国を自由旅行されていることを本を読んで知りました。フェリーで釜山に渡り、北上してソウルを訪れたルートも似ていてびっくり。それだけに「是々非々」の姿勢で、これまで韓国人を見つめて来られたということを自分の体験とダブらせて感じることができました。

 この言論弾圧事件は、韓国国内で、「嫌韓」の急先鋒メディアと捉えられている産経新聞を韓国が狙い撃ちしたものだと私は思っています。私自身、産経新聞の韓国に対する論調に100%同調するつもりは全くありませんが、起訴したこと自体が、韓国社会の未成熟さをさらけ出す事件となってしまいました。

 さらけ出す結果を導いたのは、加藤さん自身が起訴された後も言論人であることを貫いたからではないでしょうか。当事者でありながらも加藤さんは、韓国の司法、メディアの実態や国民性を冷静に取材・分析し続けました。このノンフィクション作品は、まさにその結晶と言ってよいと思います。

 私は、この判決後に韓国メディアの受け止め方に最も注目していましたが、本書の中では、韓国各紙の社説(当然歯切れの悪いものが多いけど)も紹介されています。

 加藤さんは「おわりに」でこう書かれています。

 「韓国に対してかなり辛辣なことも書きましたが、決して韓国人一人ひとりが嫌いなわけではありません。韓国が成熟した民主主義国家になることこそが、新しい日韓関係が生まれる第一歩だとも思っています」

 隣国との間に存在する溝を埋めるためには、両国民が事実を客観的にとらえ、共通認識できる幅を少しでも広げていくことだと私は思っています。

2016年2月10日 (水)

川崎中1生徒殺害事件

川崎中1殺害事件の公判で横浜地裁は10日、リーダー格とされる19歳の少年に懲役9~13年の不定期刑を言い渡しました。  私もこの裁判は初日、2日目に傍聴しましたが、少年からは反省している気持ちが感じられませんでした。セーターとジャンパー姿で傍聴していた両親もしかり。

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 事件現場となった神奈川県川崎市川崎区の多摩川河川敷は昨年と同じ冷たい風が吹いていました。判決後、花束を持って訪れ、手を合わせる人の姿が見られました。市内に住む50代の主婦は「上村君は戻って来ないが、人を殺した主犯が10年前後で出てきてしまうのは納得できない」と憤っていました。自家用車で公判の傍聴に向かった加害少年の両親は夕方、市内の自宅に帰宅しましたが、私が呼び鈴を押しても応答がありませんでした。

2016年2月 8日 (月)

田子ノ浦部屋の鶏塩ちゃんこラーメン

サッポロ一番が田子ノ浦部屋監修のがっぷり鶏塩ちゃんこラーメンを全国のコンビニで発売。今日の晩飯は決まりです。

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2016年2月 6日 (土)

戦場取材記者が愛したスポーツライター

 先日、イスラム国(IS)によって殺害されたとされるフリージャーナリスト、後藤健二さんの一周忌法要で、イラク戦争の現地レポートなどで知られるフリージャーナリストの綿井健陽さんとお会いしました。2003年の米軍によるバグダッド空爆を現地取材したドキュメンタリー映画『Little Birds -イラク戦火の家族たち-』でボーン・上田記念国際賞(特別賞)を受賞した日本屈指の戦場取材経験者です。

 スポーツ紙記者の私とは、全く違うタフなフィールドで活躍されているわけですが、実は綿井さんは学生時代、スポーツグラフィック誌「Number」を愛読するスポーツライター志望者だったそうなのです。法要終了後に少しお話をさせていただいたのですが、影響を受けたライターの名にノンフィクション作家の故・佐瀬稔さんの名前が出てきてびっくり。我が報知新聞が輩出した名文家です。

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 実は学生時代にプロ野球にあまり関心がなかった私が報知新聞を志望したのは、報知出身の佐瀬さんが自分の関心事だった登山やボクシングに優れた著作が多く、さらに「金属バット殺人事件」などの優れた社会ルポも残していたからでした。「これだけのライターが育ったのならば」と思ったわけです。

 しかし、佐瀬さんは私が入社2年目だった1998年5月23日、がんのためお亡くなりになってしまいました。当時私は静岡支局に勤務しており、その日は高校サッカーの総体県大会を取材していたのを覚えています。報知の記者として「いつかご挨拶を」と思いながら、とうとう叶わぬまま旅立たれてしまいました。

 あれから18年。まさか戦場取材の第一線で活躍されてきた綿井さんの口から「佐瀬稔」という名前が出てくるとは思いませんでした。誠に恥ずかしいことに私などよりも佐瀬さんに詳しい。家に帰って早速自宅にある佐瀬さんの著作を集めて本棚に整えました。

 プロ野球、ボクシング、登山、事件など佐瀬さんの著作は幅広いですが、どれも今読んでも読み応えがあります。なぜ没後に著作集が出なかったのかな、などと思ったりもします。

 綿井さんからは佐瀬さんが残した名言をいくつか教えて頂きました。

 「駆け出しという言葉が何より好き」

 「知性なくして感性なし」

 60歳を過ぎても「駆け出しの一記者」として、知性を磨き続けた佐瀬さんのスピリット。「スポーツ」という枠を超えて第一線の戦場記者の心に刻まれていたというのは私にとって大きな歓びでした。そして自分の心にも生涯刻んでおきたいと思います。

2016年2月 5日 (金)

「大相撲 あなたの知らない土俵の奥」

 長年、読売新聞社「大相撲」誌の編集に携わってきた長山聡さんが「大相撲 あなたの知らない土俵の奥」(実業之日本社)を出版しました。

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 五穀豊穣を願う神事として始まり、プロスポーツに発展した相撲の歴史を興味深いエピソードを交えて解説。相撲に関する雑学本はこれまでにも数多く出版されて来ていますが、本書がこれまでの本と違うのは、歴史的背景を踏まえて今の相撲界が抱えている問題に光を当てているという点です。

 張り出し制度はなぜなくなったのか。力士たちの給料は他のプロスポーツと比べてどうなのか。巡業の意義は何なのか。前近代的な年寄制度はこのままでいいのか。一門っていったいどんな意味があるのだろうか。大関・横綱昇進基準はなぜ厳しくなったのか。白鵬がずば抜けている今の幕内のレベルは他の時代と比べるとどうなのだろうか。

 こういった問題について客観的に適切に語れる識者は多いとは言えず、その稀有な存在の一人が長山さんでしょう。相撲についての確かな知識と相撲への愛情があるからこそのオピニオン。好角家、相撲関係者、現役力士や今、相撲報道に携わる人たちにも是非読んで欲しい好著です。

 私も2001年初場所から06年名古屋場所まで相撲担当をさせて頂きましたが、手さばきや歴史的なことについては何度、長山さんにご教示いただいたか、分かりません。土俵上での一つの取組みを記事として取り上げ、手さばきを書き、なぜこんな相撲になったか。その背景を辿り、記事にしていく喜びは担当を離れた後でも忘れられません。

 是非3月の春場所が始まる前に本書を読んでみて欲しいと思います。大相撲観戦が2倍にも3倍にも楽しくなること請け合いです。

2016年2月 1日 (月)

「日本で一番悪い奴ら」の原作が文庫化

  約40億円ぶんの覚醒剤の「密輸」「に関わる日本警察史上最大の不祥事で当事者となった北海道警の元敏腕刑事、稲葉圭昭さんが、9年の服役を経てすべてを告白した衝撃ノンフィクション「北海道警悪徳刑事の告白 恥さらし」(講談社文庫)が待望の文庫本になりました。6月25日公開の映画「日本で一番悪い奴ら」(監督・白石和彌、主演・綾野剛)の原作です。

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  稲葉さんには、この本が単行本として出版された2011年には札幌でインタビューをさせていただきました。

 暴力団員になりすまして、拳銃の取引現場に潜入。ところが、潜入捜査の刑事と見抜かれかけ、耳元ではヤクザが拳銃の撃鉄を起こす音が聞こえる―。刑事ドラマのような命がけの修羅場をくぐり抜けてきた稲葉さんは、仕事にのめり込むうちに、超えてはいけない一線が見えなくなってしまったそうです。

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 覚せい剤取締法違反などで懲役9年。服役を終えても、罪の意識は消えず、本人は出版に抵抗がありました。「だけど事件を起こした背景を、警察がどんなところかを、ちゃんと皆に知ってもらいたいと思い始めたんです」と稲葉さん。

 想像がつかなかった本の反響は、励ましばかりでした。現役の警察官、警察OB・・・。検事からも手紙が届きました。「『長い間、ご苦労さま。これから頑張ってください』と。すごくうれしかったですよ」。

 稲葉さんが違法捜査に手を染めていった背景には、警察組織の腐敗があります。ヤクザとの「信頼関係」を駆使して拳銃押収のノルマを達成するエース刑事を警察組織は頼りにしまくっていました。ところが、ある一件を機に稲葉さんは、閑職に追いやられます。自暴自棄になり、覚せい剤に手を染め、逮捕されたが、違法捜査を主導した元上司は、その後も着々と出世していったそうです。「責任を取って辞めていると思ったら、ある署の署長をしているそうです。どんな顔をして、署員の前で訓示をたれているんでしょう。顔がみたいです」。

 自身の起こした事件にけじめをつけるために書いた告白は、図らずもノルマ主義に追われ、一線を踏み外す危険を抱える者への警鐘の書となっています。「ただ、人は壊れるんだよ、ということを分かって欲しい。特に警察官には読んで欲しいですね」。ちなみに出版後、道警からの反応は全くなかったそうです。反論の余地がなかったのでしょうね。

 是非、原作を読んで6月公開の映画をご覧ください。

甲斐毅彦

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