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2016年9月12日 (月)

「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち

 ノンフィクション作家、石井光太さんの最新刊「『鬼畜』の家 わが子を殺す親たち」(新潮社)を読み終えました。

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  2012年以降に発覚した3件の子ども虐待死事件にある背景を詳細に取材したルポです。

厚木市幼児餓死白骨化事件、下田市嬰児連続殺人事件、足立区ウサギ用ケージ監禁殺人事件。

 

 石井さんは、3件の凄惨な事件を起こした当事者の生育環境、家族構成などを「ここまで調べたか」という圧巻の取材力で明らかにしていきます。見えてくるのは3件に共通する日本社会の病巣。絶望的な気持ちにさせられますが、石井さんはエピローグの中で、現時点で考えうる解決への糸口を示しています。

 

 すべての犯罪事件の報道に言えることですが、人間とは思えない「鬼畜」の行為をしてしまった人物の生育環境を調べ、どのような生活をしていたのかを明らかにしていくことは、事件の真相に迫るためには欠かせないことです。この3件の事件はスポーツ報知でも報じましたが、弊紙を含めてあらゆるメディアは表層的な事実のみの報道しかできていなかったと言えます。

 

 児童虐待事件については2000年に起きた真奈ちゃん事件をテーマとした「ネグレクト」や2010年に起きた2人の子どもの餓死事件をテーマとした「ルポ虐待-大阪二児置き去り事件」の著書があるルポライターの杉山春さんも取り組んできました。石井さんが取材した事件の背景と照らし合わせれば、ややはりその共通性を見出すことができるように思います。

 

 つまり、子どもが犠牲となっていく事件は特殊なことではなく、日々生活している私たちの周辺にも潜んでいる病理が露顕したものなのではないか。私自身も3歳児の父親ですが、「鬼畜」を読んで、これを他者の問題と考えてはいけないという思いを強くしました。是非お勧めしたいノンフィクションです。

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甲斐毅彦

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