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2018年12月21日 (金)

「共犯者たち」

ポレポレ東中野で公開中の韓国ドキュメンタリー映画「共犯者たち」(공범자들)を観てきました。全報道関係者が観るべきと言っても大げさではないほど強烈な作品でした。

Photo

 

 2008年、国民の支持を失いつつあった李明博大統領が、韓国の主要放送局であるKBSやMBCに対して露骨な政治介入を行った「報道の自由の危機」を記録した作品です。政権に批判的な経営陣は次々と排除され、李政権を追及していた調査報道チームは解散させられ、記者たちはスポーツ中継担当などに異動させられていきます。放送局の労組はストライキで対抗。ですが、政権が送り込んだ経営陣が次々と解雇していきます。そして、政府の広報機関と化した放送局は、セウォル号事件で「全員救助」という大誤報をやらかす。腐敗したメディアが、朴槿恵政権で起きた崔順実ゲート事件の隠蔽に加担するところまで描かれています。

 監督は2012年にMBCのストライキを主導したとして解雇され、市民の支援で独立メディア「ニュース打破(뉴스 타파)を起ち上げた崔承浩氏。李大統領を直撃し「記者に質問をさせない国は滅びます」と訴えかけ...るシーンには、報道の自由を守りたいという信念を感じました。

 私が知る範囲では、1980年の光州事件以降、全斗煥政権が徹底したメディア統制を進めた影響で、韓国国民の新聞やテレビへの信頼度はそもそも高くありません。その反動で80年代には市民が株主になり、広告収入に依存しない「ハンギョレ新聞」が創刊され、さらには市民一人ひとりが記者になるネットメディアの「オーマイニュース」が誕生しました。

 日韓の大きな違いを一つ挙げれば、日本ではこの「市民型メデイア」がまったく育たないという点だと思います。「オーマイニュース」はジャーナリストの鳥越俊太郎さんが代表者となって日本版も起ち上げられたのですが、韓国のように軌道には乗りませんでした。

 政治権力がメディアに介入しようととするということは、韓国も日本も同じでしょう。ただ、日本の場合は韓国ほど露骨ではないかもしれません。韓国のような「市民型メディア」が育たないように、私たちが巧みにコントロールされているのかもしれない。上映後には、そんなことを感じました。
http://www.kyohanspy.com/

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甲斐毅彦

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