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2019年3月

2019年3月22日 (金)

映画「新宿タイガー」

 新宿へ出掛けた時に、虎のお面とピンクのかつらをかぶり、ド派手な花柄の衣装を着て新聞配達をしている奇怪な人物を目撃したことはありませんか?


 この姿で40年以上、新宿を闊歩して来た男性を主人公にしたドキュメンタリー映画「新宿タイガー」が22日からテアトル新宿で公開されます。監督はフリーランスのTVディレクターとしても活躍する佐藤慶紀氏(44)。

Photo


 東京・中野区で育った私自身が新宿タイガーを見て度肝を抜かれたのは80年代後半、高校生の頃でした。正体の原田吉郎さん(71)は、これまでに何度かメディアの取材は受けていたので、素顔は知っていましたが、情報は断片的でした。何のためにこんな格好をしているのか。単に目立ちたがり屋なのか。それとも思想があるのだろうか。ついにドキュメンタリー映画ができると聞き、長年の謎が解けるのではないかという期待を持って試写会に行って来ました。


 その素顔は美女と酒と映画を愛する純粋な人物。交流のある美女たちと日替わりでゴールデン街でグラスを傾け、語らう背中から伝わって来るのは、人生をどこまでも楽しもうという自由な精神です。
 原田さんは1948年、長野県出身。67年に上京して大学に入学しますが、69年に中退。タイガーのお面をかぶり始めたのは72年頃。75年に新聞配達を始め、44年経った今も続けています。


 知りたいのは、お面をかぶり始めた理由です。映画の中での原田さんの答えは、神社のお祭りで売られている虎のお面を見たときに「オレ、新宿の虎になる」と思ったとのこと。でもどうして? 「直感に理由はない」。これ以上多くは語ろうとはしませんでした。


 原田さんが上京した60年代後半は、新宿が若者文化の中心地でした。ベ平連のフォークゲリラが西口広場に集い、68年には過激派と機動隊が衝突する新宿騒乱が発生。そんな中で、新宿の街づくりの中心人物だった紀伊國屋書店の創業者・田辺茂一氏が「新宿メディアポリス宣言」を発表しました。メディアと一体化して新しい街づくりをしようという構想は、まもなくスタジオアルタを生み出し、フォークゲリラは姿を消していきました。


 ただし、原田さんは学生運動には関わっていないと言います。この頃、原田さんが夢中になっていたのは映画。とりわけ当時大ヒットしていた「唐獅子牡丹」には夢中になったとのことです。男は黙ってサッポロビール。原田さんは、黙って「虎」になることを選んだのかもしれません。

 40年以上の歳月が経ち、変わり続ける新宿で、変わらずに「虎」であり続けるのは、なぜなのだろうか。映画を見終わった後は、ずっと問いかけられているような気持ちになりました。

甲斐毅彦

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