「辺境メシ」
ちょうど1年前に出版されたノンフィクション作家、高野秀行さんの「辺境メシ」(文芸春秋)を今さらながら読み終えました。読了が大幅に遅れたのには2つ理由があります。
一つは2016年から18年にかけて「週刊文春」で連載していた時から毎回楽しみにしていて、すでに読んでしまっていたためです。
もう一つは、あまりにも面白いので読み進めるのが惜しいと思っていたためです。本当に好きな小説には、こういう感覚がありますよね。
巻頭のカラー写真を見ながら改めて読んでみると、連載の時以上に一つひとつの「辺境メシ」が強烈に感じられます。ヒキガエルジュース、サルの燻製脳味噌、胎盤餃子、アマゾンのおばさんによる口噛み酒…。
私も比較的「ゲテモノ」には挑戦してみるタイプなのですが、「さすがにこれはちょっと…」と腰が引けてしまうものも。高野さんの未知のものへの好奇心、探求心が、やはり筋金入りのホンモノであることを思い知らされます。
同じように食べるのが無理であっても、この本を読めば、「食」の可動域を広げてみようという勇気が湧いてくること請け合いです。
高野さん自身が書いているように、ここに挙げられたのは地球上にある「変な食べ物」のごく一部でしょう。これから訪れる初めての土地で、「辺境メシ」を自分で発見する歓びを是非、味わってみたいと思います。
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