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2020年1月

2020年1月10日 (金)

ドキュメンタリー映画「さよならテレビ」

 ポレポレ東中野でドキュメンタリー映画「さよならテレビ」を観てきた。この映画が2020年の最高傑作であることは間違いないだろう。


 この作品は「ヤクザと憲法」をはじめとするタブーと忖度なしのドキュメンタリーを撮り続けきた東海テレビの圡方宏史監督と阿武野勝彦プロデューサーによるもの。今回カメラを向けたのは身内であるテレビ局内だ。突然、局内で企画書を配り、仕事仲間に対して、これから取材対象となってもらうと通告するところから始まる。

Photo


 メディアが自己開示をする以上、そこに忖度があっては意味がない。困惑するスタッフたち、苛立ちを隠さず、撮影を止めさせようとするデスク。普通ならここで企画倒れとなるはずだが、驚くべきことに、こうして劇場で公開されている。


 社会科見学に来た子どもたちには「弱い人を助ける」「権力の監視」と報道の使命を説きながらも、現実には視聴率競争に追われる局員たち。働き方改革が叫ばれる中で、休めと言われても現実的には休めようはずがない。まさに「薄っぺらいメディアリテラシーは、もうたくさん」なのだ。この現実を見てみろよ、ということなのだ。


 私には契約記者として雇われて、1年で切られてしまったワタナベ君にも感情移入できたし、管理職を経験している立場としては、ミスをやらかしたワタナベ君を叱りつけるデスクの気持ちも分かる。報道に携わる者は皆、血の通った人間なのだ。


 もっとも心に残ったのは、「共謀罪」法案の危険性をなんとか視聴者に伝えようとする中年の契約記者、サワムラさんの悪戦苦闘ぶりだ。地方紙や業界紙を渡り歩き、自らもミニコミ紙を作るなどしてたどり着いたのが今の職場。その自宅には、ジャーナリズム、メディア関連の書籍がズラリ。学生時代には、本多勝一のジャーナリズム論や鎌田慧のルポを読み、その原点から離れられず、現実の中で何年も、何年ももがき続けている。

 サワムラさんの苦悩は、まさに私自身の苦悩に他ならない。これを描き出してくれた圡方監督と阿武野プロデューサーに心から拍手を送りたい。本当に感動した。

甲斐毅彦

2020年7月

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