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2020年4月

2020年4月30日 (木)

「オリンピック・マネー」

文春新書の新刊「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(後藤逸郎著)を読みました。

 天文学的な数字にまで上がってしまった放送権料、スタジアムなどハコモノを造る巨額建設費、どこまでも膨れ上がる大会経費と国・都市の予算…。「平和の祭典」にはどこまでもカネの話がつきまとってきます。

 本書は週刊エコノミストの元編集次長の著者が、五輪の歴史から遡り、IOCの不透明な経理、放送権料、スポンサー事情など「カネ」の観点から五輪をひもといた好著です。

 最大の読みどころは、神宮外苑再開発の真相に迫った最終章でしょう。東京五輪開催を受けて新国立競技場建設のために再開発が進められたと思われがち
ですが、実は五輪招致が決定する以前からこの地域の再開発へ向けての準備は水面下で進められていた。著者が入手した内部文書の機密情報を使って、その知られざる過程を描き出しています。

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2020年4月 9日 (木)

「孤塁 双葉郡消防士たちの3・11」

 ノンフィクションの新刊「孤塁 双葉郡消防士たちの3・11」(吉田千亜、岩波書店)を読みました。

 原発が爆発し、死の危険が迫る中で、地震・津波の被災者の救助、避難誘導を行い、さらには原発構内での給水や消火にあたった地元の消防士たちのドキュメントです。

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 筆者の吉田千亜さんは、当時の消防士66人を取材。その数々の人名が次々と登場するので、最初は面食らってしまったのですが、それは、ここに書かれていることの真実性を高めるものだということにすぐ気が付きました。2、3人に話を聞いて組み立てたようなものではないのです。

 66人から話を聞いて、整合性が合うように構成していくのは簡単なことではなかったと思います。取材記者という立場からもう一点感じたのは、一人ひとりの年齢と役職をすべてきっちり入れていることの誠実さです。ノンフィクションは具体性を追求してこそ、説得力が生まれるのですが、その点へのプロの取材者としての矜持を感じました。

 原発事故後に報道でクローズアップされ、称賛されたのは爆発した3号機にヘリで水を投下した陸自や東京消防庁のハイパーレスキュー隊でした。私自身も水を投下した自衛官をインタビューするために木更津基地へ行きました。

 ですが、震災発生直後から命がけで活動していた双葉消防本部はほとんど報道されていなかったように思います。吉田さんによれば「双葉消防は何やってんの?」と咎めるように言われた職員もいたそうです。

 消防士一人ひとりが「英雄」として祭り上げられることを望んでいるわけではなく、彼らが自分から語ることはこれまでもなかったと思います。ただ、それぞれの消防士が守るべき家族を抱えながら「特攻」のようなつもりで、任務に当たっていたということは、取材者が掘り起こして世に示さなければ永遠に知られることがなかったかもしれません。

 緊急事態の中で人の命を救うというのは、どういうことなのか。今こそ一人でも多くの方にお勧めしたい素晴らしい作品でした。

2020年4月 7日 (火)

家で飲むなら甲州ワイン

 ワイン県山梨では、今春も数々のワインイベントが予定されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で軒並み中止に。まだ外出がしにくい状況が続きますが、自宅でゆっくりワインを味わってみるのはいかがでしょうか。県内で手軽に手に入る甲州ワインを「家飲み」で楽しむ方法を教わるならワイン通として知られる元県観光部長で漫画「美味しんぼ」にも登場した仲田道弘さんが一番でしょう。女子バスケットボールWリーグ、山梨クイーンビーズの水野菜穂選手と若原愛美選手が興味津々で駆け付け、伝授してもらいました。

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 水野、若原両選手がやってきたのは甲州市勝沼町のワイナリー、丸藤葡萄酒工業(大村春夫代表取締役)。4代続く老舗は築150年の母屋を見ただけで歴史を感じます。酒は嗜む程度だという2人がふだん飲むのは「缶チューハイとかですかね…」(若原)「私は梅酒…」(水野)。ワインのことはよく分からないらしい。練習前とあってテイスティングは帰宅後までお預けですが、まずは仲田さんのレクチャーに耳を傾けることにしました。

 仲田さんがお勧めとして取り出した一本は「ルバイヤート甲州シュール・リー」(白、720㍉㍑、税込み1980円)。1300年の歴史を有する日本固有の甲州ブドウを使った甲州ワインだ。これがなぜ「家飲み」向きなのか。

 ◇和食に合うんです
 「ワインは和食とは合わないと言われてきましたが、それを覆したのが、穏やかで繊細な味わいの甲州ワインなんです。ほうとうをはじめとする山梨の郷土料理すべて合いますし、生魚でも合います。魚は切ると瞬間に脂身が酸化するので、ワインの中の鉄分と混ざって生臭くなるんですが、甲州ワインは鉄分が少ないから魚の味を邪魔をしないんです」

 ◇洋食でもOKです
 「ワインを料理にかけるソースのようなものだと思えばいい。(一般的には)レモンをかけたくなるような魚料理には白。胡椒やスパイスをかけたくなるような肉料理には赤ワインと考えればずれはないです。ただ、軽やかな甲州ワインはほぼすべての料理に合ってくる。これ一本買っていけば間違いありません」

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◇ラベルの見方
 「『甲州』と表示されているものは、100%甲州ブドウから造られています作られた。年号はブドウが獲れた年。甲州ワインは軽いので2、3年ぐらいがちょうどいい熟成期。今でしたら2017、年ぐらいがお勧めです」。

 ◇グラスの回すこと(スワリング)の意味
 じっと仲田さんの話に聞き入っていた水野選手がおもむろに質問。「あの、グラスを回して、空気を混ぜるのってどういう意味があるんでしょう…」

 「あまり気にしなくていいですが、何年も瓶に閉じ込められていた香りを外に出してあげるんです。1、2年ものならありませんが、5年、10年ものだと香りがすぐに出にくいことがあるので。ちょっとやってみましょうか。テーブルに置いたまま、斜め度に傾けて、右手で持つときは反時計まわりに大きく…。おっうまいですね。さすがスポーツ選手」

 ◇グラスの持ち方
 「ワインが入るボウルの部分ではなく、ステム(脚)を持ちます。適切な温度で飲むためです」

 ◇飲み残したら
 続いて若原選手が質問。「開けちゃったワインが飲み切れなかったことがあるんですが…」
 「空気を抜くセーバーも市販されていますが、ふつうにフタを閉めて冷蔵庫に入れても1週間ぐらいなら大丈夫。ハーフボトルに残ったワインを入れてもいい。空気に触れることで熟成が進む。進みすぎると劣化する可能性があります」

 この場で味わえなかった2人にはお土産に一本ずつ。それぞれ練習を終えた後の自宅で味わっていただきました。水野選手は「ワインというとチーズとか決まった食材が合うイメージでした。和食と合うとはびっくりでした」。若原選手は「ワインというともっとお金持ちの高級なイメージでしたが、山梨に来たし、自分で買っても飲みたいです」と話しました。

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 仲田さんは「唯一お酒の中で酸性ではなくアルカリ性なのがワインです。天然のアルコールなんで非常に健康にいいし、美容にもいい。殺菌作用もあります。もちろん(選手が)ガブガブ飲んではダメでしょうけど。私はガブガブ飲んでしまうんですが…」と言いながら2人にエールを送っていました。

甲斐毅彦

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