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2020年5月 3日 (日)

「一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート」

 辺境ノンフィクション作家の高野秀行さんが大絶賛していた「一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート」(上原善広著、角川文庫)を読みました。これまで数多くのスポーツノンフィクションを読んできましたが、これほど面白い作品はなかなかありません。

 日本選手にとっては不利な投てき種目の一つ、やり投げで世界のトップ選手たちと渡り合った伝説の選手、溝口和洋。中学時代は将棋部、高校総体にはアフロパーマで出場、試合前にもタバコをふかし、夜は平気でボトル一本開けてしまう、気に入らない記者にはヘッドロックで制裁…。

 ハンマー投げの室伏広治を育てた指導者として名前は聞いたことがありましたが、ここまで破天荒な選手だったとは知りませんでした。マスコミ嫌いで知られる溝口氏を筆者は18年以上かけて粘り強く取材。語らない者を一冊の単行本で一人称で語り通させた。その点においても感動する作品です。

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 すでに引退しているからということもあるのでしょうが、溝口氏の奔放な言動は、組織やライバル選手に気を遣う日本のスポーツ界においては特異とも言えるものです。ライバルの先輩選手を名指しで「嫌いだった」と言って憚らず、日本陸連のことも遠慮なく批判する。それでいて嫌味な印象を感じさせない。これほどまでに精神の自由を持っているスポーツ選手はなかなか思い浮かびません。

 「世の中の常識を徹底的に疑え」が信条とする溝口氏は、トレーニング方法も、投てきのフォームもすべて自分で納得した上で考えだしていった。奔放でありながらも「やり投げ」という種目には命懸けで取り組んでいた。そこがひしひしと伝わってくるので、なじみが薄かったこの種目にまで、心の底から興味が湧き出してきます。

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甲斐毅彦

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