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2020年6月 1日 (月)

「資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界」

 ジャーナリスト、佐々木実さんの大著「資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界」(講談社)を読み終えました。

 日本で最もノーベル経済学賞に近いと言われた宇沢弘文の評伝。一人の理論経済学者の生涯を辿る638ページのノンフィクションですが、退屈する要素は全くありませんでした。

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 白く長い髭がトレードマークだった宇沢は180センチの長身。幼い頃は怪力で鳴らし、毒ヘビを手づかみして振り回すような豪傑だった。戦時中に過ごした禅寺で曹洞宗の教えの影響を受け、旧制一高時代にはラグビーに熱中。数学が抜群に得意で東大の数学科へ。河上肇の「貧乏物語」を読んだのをきっかけに経済学に転向しました。

 学者としては主に米国で活躍した宇沢は後に、水俣病などの公害や地球温暖化問題、三里塚闘争へと向かい合ったことで知られています。「世界的な理論経済学者がなぜ」というのが私の疑問だったのですが、本書ではマルクス経済学、新古典派経済学、ケインズ経済学に触れていく中で、宇沢が自らの進む道を決めいき「社会的共通資本」という概念を創り出していく過程が見事につづられています。

 市場が急拡大にすることにより非市場とのバランスが崩れ、その歪みから生じたものが公害である。経済分析とは陽が当たらない陰の領域をもカヴァーするものでなくてはならない。これが宇沢が導き出した経済学の使命だったのです。

 この本を読む利点の一つは、近代から現代にかけての経済学史の流れが、すんなりと分かるということ。もう一つは、現在私たちの身が置かれている新自由主義とはいかなる過程で生まれ、どのような毒を含んでいるかも知ることができるという点です。

 私自身、安倍政権が推し進める「アベノミクス」に右脳で疑念を抱いていましたが、本書を読んで左脳で裏付けられたように感じています。

 佐々木実さんは長年政権のブレーンを務めてきた竹中平蔵の実像で迫った「市場と権力」という名著もあり、こちらも早く読んでみたいと思っています。

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甲斐毅彦

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