「令和の巨人軍」
「プロ野球死亡遊戯」で知られる現役巨人ファンのライター、中溝康隆さんの新刊「令和の巨人軍」(新潮新書)を読みました。
昭和のヒーロー、王・長嶋もいなければ、平成のゴジラもいない。地上波中継はなくなって久しく、巨人帽を被った少年を街中で見かけることはめったになくなってしまった。
それでも、待望の生え抜き4番・岡本和真、不動のエース、菅野智之、史上最高の遊撃手、坂本勇人…。今の巨人にはオーラのある選手、個性豊かな選手がそろっているんです。そうか、彼らは目の前の敵だけではなく、人々の脳裏に焼き付いたノスタルジーとも、きっと戦っているんだな。輝かしい歴史を踏まえつつ、アップデートされた現在の巨人を論じた1冊。こんな巨人論をずっと読みたいものだと思っていたら、まさに、語るにふさわしい中溝さんが出してくださいました。
V9時代のプロスポーツと言えば、野球以外には大相撲とボクシングぐらいしかありませんでした(プロレスも入れるべきかもしれませんが)。ところが、今やJリーグが誕生してまもなく30年。プロバスケットボールのBリーグの認知度もだいぶ高まってきました。海外の各スポーツも中継で楽しめる時代です。プロ野球以外にも、楽しめるプロスポーツはいくらでもあります。
そんな時代だからこそ、敢えて昭和のプロスポーツの代名詞ともいえる「巨人軍」に注目することで、改めて気がつくことはあまりに多い。ファンにとって「今の巨人戦を10倍楽しめる本」と言っても良いでしょう。そしてアンチも、どっちでもない人も、皆が楽しめる新書です。
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