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2020年7月19日 (日)

「ジョージ・オーウェル―『人間らしさ』への讃歌」

18日に出版された「ジョージ・オーウェル―『人間らしさ』への讃歌」(川端康雄著、岩波新書」を即日購入し、一気に読み終えました。翻訳されているオーウェルの作品はほとんど読んでいますが、作品の時系列的な流れが分かる評伝を読みたいと長年思っていたので待望の一冊です。著者の川端氏は、これまでもオーウェル評論集などの翻訳を手掛けてきた英文学者です。

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 英国のエリートが通うイートン校に奨学生として入学し、卒業後はインド帝国の警察官としてビルマに赴任。そこで帝国主義を「いかさま」と捉えたオーウェルは高給取りの生活を投げ捨てて、パリ・ロンドンの貧民街に入り込み、初めてのルポ「パリ・ロンドン放浪記」を書きます。

その後、スペイン内戦に従軍し、銃撃されて喉を貫通する重傷を負いますが、九死に一生を得て「カタロニア讃歌」を出版します。その後、ソ連を風刺した「動物農場」を発表し、最もよく知られているディストピア小説「一九八四年」を発表したのは、晩年のことでした。

オーウェルは、作品を書き続ける意欲 を持ち続けたまま46歳で亡くなっています。最晩年に抱えていた問題意識は、現代人の宗教観でした。来世への信仰を持たなくなった現代人がいかにして宗教的態度を取り戻せるか、というテーマ。イデオロギーやドグマを排し、人間の根源的な平等を理念としていたはずのオーウェルが、それをどのように描いたか。読めずじまいだったのは残念です。

一つひとつの作品が生まれる経緯が分かっただけでなく、優れた作品を発表してもすぐには売れず、経済的には恵まれていなかったこと、また結婚相手のことや養子を得たことなどの私生活については初めて知りました。

 個人的には、オーウェルについては小説家としての側面よりも、臨場感あふれるルポルタージュの書き手としての側面が好きです。その背景を知ることができたのが最大の歓びでした。

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甲斐毅彦

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