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2020年8月20日 (木)

「ロボジョ! 杉本麻衣のパテント・ウォーズ」

新刊「ロボジョ! 杉本麻衣のパテント・ウォーズ」(稲穂健市著、楽工社)を読みました。

 主人公は大学工学部に通う女子大生、杉本麻衣。自らロボット研究会を創設し、「お手伝いロボット選手権」で優勝したことから「ロボジョ」と呼ばれる。ロボット搭載用のさらに画期的な技術開発に挑み、成功するのですが、その知的財産を横取りしようとする怪しげな輩が現れ始め…。

 実際の企業間でしばしば起こるパテント・ウォーズ(特許戦争)を題材としたライトミステリーノベル。ところが普通の小説とは違う点は小説でありながらも、特許権、商標権、意匠権、著作権といった知的財産権の入門書となっているところです。

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 著者で東北大研究推進・支援機構特任准教授の稲穂健市さんは、知的財産権の啓発活動の第一人者として活動している弁理士。ミステリーとして違和感がないストーリーなのに、読めば知財の全体像と現代的な課題点までが分かってしまう。知識の整理用に、巻末には知財コラムが8本ついていて、しっかりメリハリもついています。

 実は変な発明や、おかしな商標に対して密かに興味を持っている私が、稲穂さんを知ったのはちょうど10年前。ペンネーム稲森健太郎名義で出版した「女子大生マイの特許ファイル」を読んだときでした。ビートたけし、ホリモンこと堀江貴文氏ら著名人が実際に出願した特許を題材にした本ですが、難しい話をこれだけ面白く書ける才能に驚き「これこそ知的エンターテインメントだ」と感嘆したものです。

 その後の著作もすべて愛読して来ましたが、最新作には、何としても広く、知財の面白さを伝えたいという工夫に満ちた力作です。

 2002年に当時の小泉純一郎首相が「知財立国」を宣言してまもなく20年になります。経済は失速し、産業の競争力では他のアジア諸国に抜かれつつある今の日本にとって知的財産が大切であることは言うまでもないことでしょう。

 私個人は産業であれ、文化であれ、社会に役立つか役立たないかはさておき、まずは一人ひとりが興味を持ったことをとことん追究し、新しいものを創り出そうとすることが、大切なのではないかと思っています。その前提として、知っておくべきことが、あっという間に楽しく学べるのが、この一冊です。

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甲斐毅彦

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