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2020年9月 7日 (月)

「幻のアフリカ納豆を追え! そして現れた<サピエンス納豆>」

 敬愛するノンフィクション作家、高野秀行さんの最新刊「幻のアフリカ納豆を追え! そして現れた<サピエンス納豆>」(新潮社)を読み終えました。

 納豆が日本固有の食べ物だなどと言ったら、とんでもない大間違い。私が海外の納豆を初めて食べたのは、2002年のサッカー日韓W杯取材のために駐在していたソウルでした。豆腐や野菜を煮立てたチゲの中に納豆が入っている「チョングッチャン」(清麹醤)。大衆的な食堂に行けば珍しくなく、ちょうど暑い時期だったので、昼食には少しでも元気が出るものを食べようと「チョングッチャン」かドジョウ鍋の「チュオタン」の二択ということが多かったです。

 ですので私自身はアジアに納豆があると聞いても違和感を感じませんでした。高野さんがタイ、ミャンマー、ネパール、中国などの納豆を取材した前著「謎のアジア納豆」(新潮社)はチョングッチャン体験の延長として自然に受け止められる楽しい読み物でした。

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 ところが、高野さんの納豆の旅はアジアでは終わらなかったのです。ナイジェリア、セネガル、ブルキナファソ…。日本からはるか離れたアフリカの国々に広範囲にわたって多様な納豆が存在していたとは! 納豆観が変わるのは当たり前の話で、食文化を通じての世界観が変わる一冊と言っても大げさではないでしょう。

 世界観が変わるものを追い求めての辺境探検。三畳一間のアパートで暮らした早大探検部時代に幻の怪獣「ムベンベ」を探しに向かったコンゴ探検が高野さんの原点です。そして、ミャンマーの反政府ゲリラ支配区に潜入してはアヘン生産の実態を探り、謎に包まれた西南シルクロード踏査ではインドに不法入国してしまい、世界一危険と言われていたソマリランドに飛び込み|。

 最新作でも未知を求めるスタンスはブレていません。「ムベンベ」から「アフリカ納豆」へ。怪獣探しの時の奔放な青臭さは30年を経て、文字通り納豆のように熟成された味わい深いものになっています。ただ、対象は変われど、内から沸き起こる好奇心に逆らわず突き進めば、誰にも見えなかった世界が見えてくる。そこに感動せずにはいられません。本書を読めば前著の「謎のアジア納豆」も読みたくなるでしょう。

 本書の主舞台はアフリカですが、韓国でのチョングッチャン取材も収録されています。手前ミソならぬ「手前納豆」な話ですが、ちょっとだけこの取材に関わらせて頂きました。高野さんが「知り合いの知り合いのダンナさんの高校の後輩のお母さん」と記している「知り合い」とは、光栄なことに私のことです。

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甲斐毅彦

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