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2021年1月30日 (土)

「下山の哲学 登るために下る」

 8000m峰全14座登頂に日本人で唯一成功したプロ登山家・竹内洋岳さんの新刊「下山の哲学|登るために下る」(構成・川口穣、太郎次郎社エディタス)を読みました。

 恐らく単行本としては史上初の「下山論」ではないでしょうか。登った山は下りなければ生きて還れない。竹内さんが14座の登頂に成功し、こうして生きて本を出版しているということは、14度の下山にも成功しているということです。登山のドラマと同じ数だけ、下山のドラマがある。それは登山以上に劇的なものとなる可能性も秘めています。

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 登山は途中で断念することができるが、下山はできない。それは死を意味するからです。そして下山は必ずしも下りばかりとは言い切れない。山の地形というのはそれほど単純なものではなく、下山ルートの中でも厳しい「登り返し」が避けられない場合のほうが普通でしょう。

 竹内さんは「頂上は通過点に過ぎない」と言い切ります。そして「おわりに」でこう語っています。「山の頂上は一点しかなく、その先は、どこに向かうのか、どこまで行くのかを、自由に選び、思いえがくことができます。私は、足下に広がる先に、未踏峰を探しながら下っています」

 下山とは新たな挑戦への出発点だったのか! 小学校の遠足の時には引率の先生に「おうちに帰るまでが遠足ですよ」とよく言われたものですが、その意味がこの年になってようやく分かりました。それを14座サミッターに教えられるとは。

 下山には下山の意味がある。そう意識づけて山に臨めば、登山の楽しみは倍増していくに違いありません。

 本書は登山用時計「PRO TREK」を竹内さんのために開発して来た牛山和人さん、山岳気象予報士の支えてきた猪熊隆之さん、山岳カメラマンの中島健郎さんらが、それぞれの視点で竹内さんを語るコラムが挿入されているのも魅力です。

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甲斐毅彦

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